Anlyの音楽が持つ、孤独や物寂しさにも寄り添う優しい響き ワンマンで届けた明日を生きる活力

Anlyの音楽が持つ、孤独や物寂しさにも寄り添う優しい響き ワンマンで届けた明日を生きる活力

 Anlyが12月1日、Shibuya eggmanにて『Sweet Cruisin’ Tour 2019』東京公演を開催した。

 沖縄・伊江島出身のシンガーソングライターとして、2015年11月にデビューを果たしたAnly。今年11月からは、5カ月連続でのデジタルシングル配信を試みるなど、来年に迎えるデビュー5周年を前に積極的な活動を展開している。そんな彼女が今回のツアータイトルに掲げたのは、ゆったりと甘い時間を“ドライブ”するという“Sweet Cruisin’”。Anlyのしっとりとした歌声に酔いしれながらも、緩急のあるセットリストを通して、彼女がシンガーソングライターとして歌詞に込めた“想いのストレートさ”を再認識する一夜となった。

Anly

 アカペラから始まった最新シングル曲「Taking My Time」で幕を開けると、〈さあさあお待ちかねの Showtime/特別 V.I.P席へご招待〉と、まさにライブ序盤のシチュエーションにぴったりな「COFFEE」に繋げる。曲中では倍速のフロウを披露しつつ、力強いアタックで次々とライムを踏み倒すなど、ヒップホップ色の強いステージを繰り広げていく。退屈な日常生活を送る人々を鼓舞する歌詞の同曲では、フロアのハンズアップを煽りながら、〈毎日 毎日 本当にお疲れさま〉と音楽の力で彼らを労う姿が印象的だった。

 ライブ中盤に披露されたのは、アーシーな声色で“車内恋愛”の様子を歌う「Moonlight」や、シンプルなサウンドが洗練された都会性を醸し出す「DREAM ON」など。また、未音源曲「愛情不足」を演奏したブロックでは、「立ち止まって景色を見ている気分で聴いてほしい」とも語られるなど、ライブタイトル通りのゆったりとした時間に突入していく。

 実際に「DREAM ON」では、バンドの熱量を控えめにしていたが、これは歌詞の情景に寄り添った上での選択だったのだろう。〈寝ぼけ眼〉というワードから始まる同曲では、〈Walk-in closet 間取り トイレ風呂別 2LDK/Someday 二人で そんなとこ住みたいね〉といったように、若い世代であれば思わず共感してしまうような、男女の心のやりとりが描かれている。そんな少し気だるく物寂しいムードも、原曲とは異なる角度で表現されていた。

 また「愛情不足」は、一人で頑張りすぎてしまう人々に対して、彼らを優しく受け入れたいというメッセージを込めたミディアムバラード。毎日の生活で磨り減った心に、優しく水を注いでくれるようなAnlyの歌声にも、自然と涙を誘われる。ここまでの一連の流れを体験して、沖縄出身のシンガーソングライターである彼女の歌詞と歌声には、都会で生活するなかで感じるような、どこか満たされない想いをなぜだか誘われることに気がついた。

 以前のインタビュー時に、自身の幼少期や音楽を始めた理由を問われた際、「結局、歌うことしか私の寂しさを満たしてくれるものがなかったんだろうなって」と語っていたAnly(参考:CINRA.NET)。あくまで音楽を楽しみながらも、その原点には自身の寂しさがあった彼女の歌詞には、多くの人々が抱くような、群衆のなかに生きる“孤独”とも重なる部分があるのではないだろうか。

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