Anlyの音楽が持つ、孤独や物寂しさにも寄り添う優しい響き ワンマンで届けた明日を生きる活力
東京と沖縄という土地の性質の違いはあれど、Anlyの歌詞は今の若い世代の心を貫くような言葉で綴られている。スキマスイッチとのコラボで彼女の名を一躍に知らしめ、この日もライブ中盤に披露された「この闇を照らす光のむこうに」なども、その好例といえるに違いない。そんな楽曲たちに寄り添う形で、今回のバンドによる表現方法やセットリストは選ばれていた印象だ。だからこそ、ライブ終盤に披露された「KAKKOII」や「Do Do Do」、「MANUAL」をはじめとするアッパーチューンの数々に、明日を生きる活力を与えられるような説得力に満ちたものだった。
それを象徴していたのが、本編最後の「We'll never die」だ。〈この瞬間を生きて いつか星になっても 誰かを照らす星になりたい〉と、これ以上ないくらいにストレートな想いの詰まった同曲に、フロア全体も幸せなオーラでシンガロングを重ねていく。Anlyのかき鳴らすアコースティックギターの旋律は、会場の雰囲気をより明るい方向へと導くもので、彼女の歌声もまた、その場にいた誰もを肯定してくれるようなパワーを放っていた。シンガーソングライターとして音楽と向き合うAnlyに、頼もしさすら覚えた瞬間だった。
アンコールでは「笑顔」を披露しつつ、今後に関する吉報が次々と明かされる。まずは、5カ月連続配信中のデジタルシングル第2弾が、この日も歌唱された「愛情不足」であることを発表。同曲の客演には、同じく沖縄出身のラッパー・Rude-αが参加する。また、自身3枚目となるオリジナルアルバムが制作中であることも告げられた。
来年1月中旬には、同じく渋谷のWWW Xにて、毎年恒例となったバースデーライブを開催するAnly。来年でデビュー5周年を迎える彼女は、シンガーソングライターとして今後、どのような想いを自身の歌詞に託すのだろうか。いずれにせよ、Anlyの音楽がこれからも誰かの光になることを強く願うばかりだ。
(取材・文=一条皓太)