ハルカミライが全身全霊で鳴らした”ホンモノ”のロック 自身最大キャパに挑んだ幕張メッセワンマンライブを見て

ハルカミライ『A CRATER』レポ

 ハルカミライが、12月8日幕張メッセ国際展示場第1ホールにてワンマンライブ『A CRATER』を開催した。寒々とした空の下、集まった8888人。自身にとって最大のキャパシティとなる会場には「HRKMRI IS ALWAYS AT THE LIVE HOUSE」の文字がでかでかと掲げられていた。

 だだっ広いホールのど真ん中に設けられた360度のセンターステージ。定刻を少し過ぎると、待ちわびたオーディエンスの歓声に迎えられドラムの後方から4人が登場。橋本学(Vo)が「っしゃー! 幕張ー! よしっ! よしっ! よし!!」と体を奮い立たせるように揺らし、「始めようかー!」と一言。「君にしか」からロケットスタートを切っていった。「カントリーロード」の曲中では「ギター、関大地。ドラム、小松謙太。ベース、俺の相棒、須藤俊。歌、俺とお前!」と橋本がメンバー紹介を交え観客を煽る。間髪入れずにアッパーチューンを連投し、客席は開始早々ダイバーで溢れかえっていた。そんな中、「一応ブロックとかあると思うけど関係ねーからいいよ、仲良くやろう」「1人で来たやつも肩でも組んで歌っちまえばいいよ!」「1個だけ約束! 今日は声枯らして帰ってください!」と、大きな会場でも一切遠慮はいらないと話していた。曲が進むにつれ熱狂は増すばかり。彼らもまた、客席とステージを自由に行き来し、いつもと変わらぬライブハウスの光景が広がっていた。

(撮影:Masanori Fujikawa)

  一方、MCは終始ゆるい雰囲気で進む。須藤の「みんな、発表しちゃっていいかな! 4日前から小松と一緒に住み始めました」という突拍子も無い近況報告で笑いが起こる場面も。友達同士が談笑しているような和やかな空気感のまま始まった「October’s」への流れがあまりに自然で、筆者はびっくりしてしまった。続けて披露した「幸せになろうよ」では、ステージ上に呼び込んだ女性に「小松カモン!」とカウントを取らせ、「決めたセットリストでやるのもなんだから……」と「ファイト」から続けざまに3曲を演奏。セットリストも立ち位置も全部度外視した自由すぎるステージングに、観客も高揚を抑えきれない様子だった。

橋本学(Vo)(撮影:小杉歩)

 ライブも中盤に差し掛かったところで、「ウルトラマリン」、「Mayday」とメロディアスなナンバーをプレイ。橋本の伸びやかでブレない声が突き抜ける。新旧交えた網羅的なセットリストの中で、ハルカミライの音楽を全力で表現し、オーディエンスもそのパワーを全力で受け取っていた。「それいけステアーズ」の曲中、橋本は「あの花より俺たちは咲かなきゃ!」と叫んでいたが、たとえ綺麗に咲けはしなくても、でっかくでっかく咲こうとする全身全霊の彼らの姿はあまりにも美しかったし、これがハルカミライの格好良さなのだと納得がいくものだった。

 そして、橋本は最近比喩として彼らを表す「バケモノ」という言葉について触れた。もちろんこの言葉はいい意味で使われているし、褒め言葉なのもわかった上で「俺らはホンモノなだけなんだよ」と語り、「PEAK'D YELLOW」へと続けた。ど頭からアカペラで歌う〈ただ僕は/正体を/確実を/知りたいんだ〉のシンガロングがホール全体に鳴り響く。ブレスの時に生まれる静寂によって、会場全員の歌声が際立ち、こだましていく。跳ね返った声が体に響く。これはこの日1番と言えるほどの大シンガロングだったし、鳥肌がたった。力づくでもなんでもなく、みんなで一緒に歌うだけで会場は一つになっていた。本当に素晴らしかった。

関大地(Gt.cho)Masanori Fujikawa

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