『BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA』東京公演
BLACKPINKはライブを重ねるたびに進化していくーー東京ドーム公演に感じた自信と貫禄
ライブが順調に進むにつれて、徐々にリラックスしたムードに。「REALLY」のイントロが流れると、にこやかな表情で客席を見つめながら動き回るメンバーたち。間髪を入れずに始まった「SEE U LATER」では、8人のバックダンサーとともにエスニックなサウンドに乗って楽しげに踊った。そんな姿を通して伝わってくるのは、夢をあきらめずに常にがんばってきた4人の自信と貫禄だ。
BLACKPINKはビジュアルやサウンドをはじめ、いたるところからガールクラッシュらしさを感じ取れるが、「Kick It」は特にその傾向が強い。今回のステージでも凜とした表情で〈迷いはない/見つけに行こう 自分を〉と力強く歌う彼女たちを、多くの女性ファンが憧れのまなざしで観ていた。
約1年ぶりとなる注目のワンマンライブもいよいよ終盤へ。「残り2曲です」とのアナウンスにどよめきが起きた直後、人気曲「BOOMBAYAH」と「AS IF IT’S YOUR LAST」を披露すると、東京ドームはいきなり巨大なパーティー会場となった。ピンクの光が揺れる中、「ブンバヤ!」と5万5千人が叫ぶと、バンドの演奏もさらに熱く激しくなっていく。その勢いはアンコールステージまで続き、一向に冷める気配がない。
ラストの1曲は「Hope Not」。アコースティックギターと4人のボーカルによるシンプルなバラードを最後に、メンバーたちはファンとの別れを惜しみながら舞台から消えていった。
だが、終演後も客席の興奮は収まらない。「とてつもなく凄いものを観た」。会場を訪れたほとんどの人たちがそんな気持ちになったのだろう。BLACKPINKは今年4月、世界最高峰の野外フェスティバル『Coachella Valley Music and Arts Festival 2019』(以下、『コーチェラ 2019』)に初参加したが、このときはバンドによる生演奏で従来のダンスポップの枠に収まらない多彩なパフォーマンスを繰り広げた。今回の公演も基本的には『コーチェラ 2019』と同様のアプローチだったものの、奏でるサウンドはさらに迫力を増し、今まで以上に各メンバーの一挙手一投足に引き込まれた。
ライブを重ねるたびに進化していくBLACKPINKは、やはり最新の姿が常に「最高」なのだ。今回の公演を観た誰もがそれを痛感したことだろう。早くも2020年1月4、5日の京セラドーム大阪と、2月22日の福岡ヤフオク!ドームの公演が待ち遠しくなってくる。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。