坂道オーディションやNizi Projectも制作 ソニーミュージック新人開発スタッフに聞く、今求められるアーティストの条件

SME社員が語る、今求められるアーティストの条件

視聴者の声を大切にして一緒に番組を作っていく

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ーー海外のオーディション番組と比べても、また違った手法ですよね。

須藤:海外のオーディション番組のいい部分も参考にしていて、YouTubeの番組を連動させてリアリティショー的に追いかけていく形はまさにそれです。やはりオーディションを進めていく上でしっかりとファンを作り、このブランド自体に視聴者をのめり込ませて、そこから自分の好きな「声」を探してもらおうと。

日高:特にオーディションは非常に閉鎖的なものが多い中で、この『ONE in a Billion』に関しては審査の過程から視聴者にしっかり入ってもらって、「私はこういう人がいい」などの各々の意見を発言していただく。可視化されたオーディションにすることを当初から目標としています。そこについては海外のものも参考にしながら、日本の今のシーンに合った独自なものとして作り上げられているなと実感しています。

ーーテレビではなく、YouTubeを通じて番組を配信していく形も新鮮です。

須藤:毎週金土の20時に更新と、基本的には週に2本公開する予定です。YouTubeは今回のアンバサダーであるスカイピースさんもMCのガーリィレコードチャンネルさんも毎日新作を上げているぐらいのレベルなので、我々もなるべくテンポよく更新していこうと。

日高:まず、無料で見られるというのが最大の利点ですよね。テレビだと放送時間が過ぎてしまうと、録画や見逃し配信をしていない限りは観ることができない。でも、YouTubeに公開していればいついかなるときでも、そのチャンネルに行けば番組を目にすることができるわけですから。

須藤:しかも、スマホで気軽に見られるというのも大きいです。

日高:何度でも見られますからね。視聴者同士でのやりとりもやろうと思えばできますし、こちら側からリプライすることもできます。視聴者が求めているものがコメント欄にどんどん書き込まれていくと思うので、そこに対してしっかりトライ&エラーを繰り返す。メソッドがまだ固まっているわけではないので、そういう視聴者の声を大切にして、一緒に番組を作っていくことができればいいかなと。それがYouTubeならではの魅力だと思っています。

ネットの「当たり前」にレコード会社側が追いついていない

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ーー『ONE in a Billion』第1シーズンでは男性を募集していますが、男性に限定した理由は?

日高:今のチャートを見ていると……米津玄師さんや菅田将暉さんはまたちょっと特殊ですけど、それ以外に男性ソロアーティストは少ないなと思っていて、そこにチャンスがあるんじゃないかと感じています。あとは、視聴者が求めているものって、実は「今求められているもの」じゃないところにあるんじゃないかと。視聴者が新鮮に感じるものをしっかりとこちらから提案するのが、ソニーミュージックとしてのプロの仕事だと思うし、それをやり続けてきたから今のソニーミュージックがあると思っています。

須藤:女性ソロアーティストは定期的に出てきているんですけど、男性は少ない印象です。

日高:純粋に今求められていないのか、我々レコード会社側がリスナー側にちゃんと提案できていないのか……そもそも「提案」という形がもはやおこがましいので、「一緒に生み出していきましょう、一緒に音楽シーンを作っていきませんか?」というのがSNSを主流とした時代における新しい在り方なのかもしれません。それで言ったら、オーディションという響きすら古いのかなと思っている自分もいて。一緒に打ち合わせをするような感覚で、日本にあるオーディションのイメージを払拭しなくちゃいけないと思っています。

須藤:それこそ、例えばネットクリエイター系の人たちは自分自身のアーティスト写真も「どれがいい?」とユーザー側に聞いたりと、民意を反映させるのが当たり前だったりします。ユーザーと一緒に作って、SNSを通じて一緒に育てていく感覚が当たり前になっているのに、その「当たり前」という感覚にレコード会社側が追いついていない。そこをしっかり当たり前にしていく作業が、今一番求められているのかなと思います。

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