ザ・コレクターズが放つ、驚異を感じるほどの瑞々しさ 最新ツアーファイナル公演を見た
2018年11月リリースの最新アルバム『YOUNG MAN ROCK』の2本目のリリースツアー『THE COLLECTORS TOUR 2019「超えて行こうぜ!限界ライン YOUNG MAN ROCK season2」』が、10月22日にEX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎えた。
8月12日の渋谷クラブクアトロからスタートし、熊谷・柏・京都・神戸・浜松・小倉など、3カ月強かけて全国15本を回ってきたツアー。「本数は少ないけど、長かったねえ」「本数少ない? 少なくないよ!」と、古市コータローと加藤ひさしが言い合う場面も。
『YOUNG MAN ROCK』から5曲、それ以外が14曲というセットリスト。このツアーのタイトルにもなっている「限界ライン」でスタートし、5曲目の「99匹目のサル」までたて続けにプレイし、場の空気を作り上げたところで、「EX THEATERは2回目なんですけど、非常に俺たちに合ってる! いつでもこういうところでやりたいよ」と、加藤。今回のツアーは政令指定都市以外を多く回るものだったので、地方によっては小さなライブハウスでギュウギュウだったりして、4人中3人が50代のバンドとしてはフィジカル的に大変な時もあったんだろうなと、その言葉を聴いて思う。と書いておいて、すぐにひっくり返すのもなんだが、ただし、出ている音はそんな大変さから、もっとも遠いところにある。どの曲も、どの瞬間もだ。
「こういうのを『エレキギターのいい音』と言います!」と断定したくなる、「♪ジャーン!」だけでウットリな古市コータローのギター。「そう! ロックンロールのベースってこういう音でこういううねり方!」と、いちいちうれしくなる、山森“JEFF”正之のベース。キックとスネアの響きに「いい鳴り!」と言いたくなるし、その一発一発のタイミングの絶妙な気持ちよさに「歌いやすいだろうなあ、これ」と思わされる、古沢”COZI”岳之のドラム。ギターとベースとドラムで作るロックンロールという音楽は、フォーマットとしてはとっくにオールドスタイルなものになっていることなどわかっているが、それでも最高だし最強だと思うのは、こういうバンドのライブを観た時だ。
特に、メロディとリリックの本来の魅力を、果てしなく高いものにしてアウトプットしていく加藤ひさしのボーカル。10代〜20代ならともかく、キャリア33年でこの瑞々しさって、驚異以外の何ものでもない。生で聴いているとつくづくそう感じる。このコンディションを保つことは若い頃に比べてはるかに大変だろうし、だから日々いろいろケアとかしているのだろうと思うが、それにしても、「特に調子いい日なのかな」と思わせるレベルだった。で、そう思った直後に「いや、俺最近、ライブ観るたびに『特に調子いい日なのかな』って思ってるわ」と気がついた。