コロナナモレモモは“マキシマム ザ ホルモンの作品”である 兵庫慎司がデビュー作に感じた異質さ

 コロナナモレモモ=マキシマム ザ ホルモン2号店が、9月25日にシングル『恋のメガラバ』で、CDデビューした。「マキシマム ザ ホルモンの2号店バンドを作る」という前代未聞の企画『ガチンコ ザ ホルモン』から生まれたバンドが、コロナナモレモモ。

 現役のプロミュージシャン(「セキはん」ことオメでたい頭でなによりの赤飯)、海外でも活躍するDJ(DANGER×DEERことKSUKE)、片平里菜やずっと真夜中でいいのに。などのサポートも務める女子大生ベーシスト(わかざえもん)、高校卒業記念にYouTubeにアップした「ニタニタしながらホルモンの曲を叩く」映像が300万回再生を記録したもうすぐ21歳の女子ドラマー(オマキ)、バンド経験ゼロの22歳社会共存不得意男子(タクマ)、の5人が最終的に選ばれ、2019年5月5日さいたまスーパーアリーナで開催されたフェス『VIVA LA ROCK 2019』のGARDEN STAGEでデビューライブを行った。以降、『SUMMER SONIC 2019』や『氣志團万博』など、各地のフェス・イベントに出演、そしてこのたびCDデビュー、という流れである。

 プロデュースはもちろん、本店オーナーの笹島ササ(と名乗るマキシマムザ亮君)。収録曲は、まず、コロナナモレモモによる「恋のメガラバ」と「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ(正式表記は各単語に×表記)」の2曲……って、コロナナモレモモのシングルなのに「コロナナモレモモによる」って書かないといけないのは、そうではない曲も入っているからです。

 3曲目と4曲目は、マキシマム ザ ホルモン2号店企画『ガチンコ ザ ホルモン』に参加した、というか出演した、ミュージシャンの参加曲。SpecialThanksのMisakiが歌う「G’old〜en〜Guy」を、コロナナモレモモのメンバーであるDJ DANGER×DEERがリミックスしたバージョンと、「拝啓VAP殿」を元B-DASHのGONGONが歌う[GONGONめちゃくちゃ語フルver.]である。

 さらに、DVD2枚。1枚は、マキシマム ザ ホルモン2号店を結成することを発表してメンバーを募集するところから始まり、メンバーが選ばれて『VIVA LA ROCK』のステージに立つまでを追ったドキュメンタリー(一部フェイクドキュメンタリーあり)『ガチンコ ザ ホルモン』。YouTubeのホルモン公式チャンネルに全15回にわたってアップされ、その後すべて削除された(本作にパッケージするために)番組である。

 で、もう1枚には、『ガチンコ ザ ホルモン』終盤に加え、本店であるマキシマム ザ ホルモンの未発売曲「ハングリー・プライド」のMVも収録。ああ、日清食品「カップヌードル コッテリーナイス」のCMで流れてた、あのライブシーンのやつね、と思うが、観てみるとあのライブシーンはMVのほんの一部であることがわかるし、MVに付随する仕掛けもあったりする。

 そして、ブックレットには、丁寧なメンバー紹介だけでなく、メンバー5人が主人公のマンガも載っており、中のジャケットは『奇面組』(※『三年奇面組』と『ハイスクール!奇面組』があるのでここは『奇面組』とだけ書くのが正解です)の新沢基栄オマージュイラストのメンバー5人の姿が。田中泰延による解説文も掲載。さらに、本店とハードコアチョコレートのコラボTシャツが当たる応募券も付いている。

 というわけで、「なんでコピーバンドのCD買わないかんねん」とは絶対に言わせない、「ここまで徹底的にやったらほしいだろ!」仕様なのだった、この2号店初の作品も。お値段は「笹島ササ価格」だそうで、3,433円。シングルと考えると高いが、2枚合わせると440分を超える尺のDVDと4曲入りCDが入っている、と考えるとめちゃ安い。

 という仕様全体からもあきらかだし、公開されたコロナナモレモモ版の「恋のメガラバ」のMVを観てもあきらかだが(本店の同曲のMVとは別の新しい作品になっていながら、その本店版と絶妙につながっていたりする)、要は、亮君がこの2号店プロジェクトに臨む姿勢、本店の活動に臨む時の姿勢と、まったく同じなのだった。

コロナナモレモモ 『恋のメガラバ』 Music Video

 つまり、これは2号店=コロナナモレモモの作品だが、それ以上にマキシマム ザ ホルモンの作品である、ということだ。というか、コロナナモレモモ自体がマキシマム ザ ホルモンの作品ですね。タモリが赤塚不二夫の作品である以上に。

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