欅坂46 平手友梨奈ソロ曲「角を曲がる」は挑戦的なサウンドに? ナスカの音楽的特徴を分析

 一方で歌は、リズムや音程に縛られず自在に動く主旋律を特徴としている。欅坂46に多くみられる「歌と語りとラップの中間」くらいの、ポエティックで非メロディアスなA〜Bメロをここでも発揮。特に、歌い出しの〈みんながおかしいんじゃないのか〉〜〈あるわけもなくて〉あたりの不安定な運びは、さながら人混みを避けて通り抜ける人のごとく、単純なリズムをことごとく回避して歌われる。

 これが、ダムが決壊したかのように言葉を詰め込むBメロへの契機となって、主人公の剥き出しの感情が表現されていく。こうした楽曲構造は「避雷針」や「黒い羊」でも見せていたナスカ作品の特徴だ。

 以上から、今回は作家の音楽的特徴がメンバーのソロ作品にも表れた一曲と言えるだろう。さらに、詞の世界を印象的なサウンドによって描き出した挑戦的作品だ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
blog
Twitter(@az_ogi)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる