SMAP『世界に一つだけの花』ロングセラー1位を機に考える、音楽の力と継続することが持つ力
SMAPの35thシングル『世界に一つだけの花』が、オリコン週間シングルTOP100内に登場した作品のランクイン週数順位歴代1位となった。2003年3月5日にリリースされた本作は、発売から2週目でミリオンを、そして21週目でダブルミリオンを達成。2016年に、SMAP解散報道が伝えられると、再び多くの人がCDを手に取り、平成発売作品としては初のトリプルミリオンを記録した。
また、放送30年を越える音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で行なわれた『あなたとアーティストが選ぶ新・国民的名曲』(2009年)、『世界に誇るニッポンの歌 BEST100』(2015年)、『日本に影響を与えた曲 BEST100』(2016年)など、数々のアンケートでも1位に選ばれてきた。
平成の時代は、IT化によって一人ひとりが世界とつながることができるようになった。だが一方で、SNS越しに見える他人の人生と自分を比べて、劣等感や孤独を感じる人も増えた感覚もある。そんな中、この楽曲が示したのは〈もともと特別なOnly one〉だということ。
「人を見て幸せをはかるのではなく、自分の内面から真の幸せを見つける時代になってほしい」この楽曲を作詞・作曲したシンガー・ソングライターの槇原敬之自身も、この曲で自分自身を見つめ直すことができた1人だという。多忙により自分自身を見失った槇原が、仏教の教え「天上天下唯我独尊」と出会ったのをきっかけに、まるで降りてきたかのように書き上げたのが本作だった。(参照:「私」「人生」… 槇原敬之デビュー20年のベスト盤)
歌の力、音楽の力。「世界に一つだけの花」を聞くと、いつもそんな言葉を思い浮かべる。このシングルがリリースされた2003年以降、日本列島を様々な災害が襲った。台風による風水害、噴火、豪雨、そして未曽有の大地震。その度に、SMAPは「心はひとつ」と訴えてきた。人が苦しい場面を乗り越えるとき、決してひとりじゃないと思えることがどれだけ大事か。そんなSMAPの呼びかけに「世界に一つだけの花」は、文字通り花を添えてくれた。