THE FOREVER YOUNGは今の時代にこそ必要な“救世主” 『ビューティフルユース』を聴いて 

THE FOREVER YOUNG『ビューティフルユース』を聴いて 

 何度もライブの話をするが、THE FOREVER YOUNGのライブは自由だ。ステージにあがる人もいて、時にはクニタケのマイクを奪って歌い出すこともある。無秩序に見えるかもしれない。でも、そこにはしっかりと意味がある。THE FOREVER YOUNGは“一人ひとりが吐き出せる場所”を作っているのだ。もちろん、ライブだけではない。『ビューティフルユース』をヘッドフォンで聴いているだけでも、クニタケのむき出しの歌に、オガワリョウタ(Dr/Cho)とタカノジュンスケ(Gt/Cho)の感情に誠実な演奏に、「これだ!」「ここだ!」といった言葉が、思わず口からこぼれてくる。

 『ビューティフルユース』での意表を突くバラード「TO THE END」でのオープニング。しみじみしていると思いきや、いきなり爆発する「笑っていようぜ」。いろんな人に〈くそったれ〉を連呼し、どしゃめしゃな演奏にたどり着いた挙句〈俺達一番くそったれ〉で締めくくられる「くそったれ」。パンクロックはロマンティック、という法則を体現した「アイラビュベイビー」。もともとはチューリップの名曲だが、吉田栄作のみならず、有頂天やMe First and the Gimme Gimmesなどにもカバーされてきた「心の旅」の、史上最高温度のカバー。最後は、彼らのひとつの楽器ともいえるシンガロングで埋め尽くした「一生青春突撃宣言」。

 全10曲、伝わってくる楽曲しかない。2000年代初頭にライブハウスを席巻した“青春パンク”という言葉が彼らのキャッチコピーになっていることから、当時の一過性のブームを思い出して、複雑な気分になっている世代もいるかもしれない。しかし、ある人が「パンクって全て青春だからね」と言っていたのだが、私はその言葉に尽きると思う。THE FOREVER YOUNGは、その究極をやっているのだ。また、幅広くも根っこはハードコアなバンドばかりを輩出している<STEP UP RECORDS>出身というところも、THE FOREVER YOUNGを信頼できる理由である。9月から11月にかけては、リリースツアーも行われる。〈ボロボロと 果てた時/またここで 逢えるさ/変わらない 俺は君と/永遠にその手繋ぐ/永遠に君へと叫ぶ〉(「一生青春突撃宣言」)――本作を携えた全国ツアー『ビューティフルユースツアー2019』が9月25日の宮城・enn 2ndから11月8日の福岡・Queblickまで計14公演行われる。ライブに足を運べば、必ずあなたの居場所が見つけられるはずだ。

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

THE FOREVER YOUNG『ビューティフルユース』

■リリース情報
『ビューティフルユース』
発売:2019年9月11日(水)
価格:¥2,500(税抜)
全10曲収録:
1.TO THE END
2.あの街へ帰れない
3.笑っていようぜ
4.くそったれ
5.アイラビュベイビー
6.ハートビート
7.心の旅
8.サヨナラにさよなら
9.ファンファーレ
10.一生青春突撃宣言

THE FOREVER YOUNG オフィシャルサイト

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