音楽は生き続けるーーデヴィッド・ゲッタのリミックス曲を機にアヴィーチー『TIM』を改めて聴く
デヴィッド・ゲッタが、アヴィーチーの最新作『TIM』の収録曲「Heaven」をリミックスした「Heaven (David Guetta & MORTEN Tribute Remix)」が8月23日に発表された。
EDM第1世代と呼ばれるデヴィッド・ゲッタは、Zedd、ハードウェル、マーティン・ギャリックスらと並んで第2世代であるアヴィーチーにとってアイドルとも言える存在だった。ゲッタはAkon「Sexy Bitch」やThe Black Eyed Peas「I Gotta Feeling」などポップシーンにEDMの要素を持ち込んだ先駆者であるが、そこから脈々と受け継がれた2010年代のEDMシーンにとってアヴィーチーは必要不可欠な存在だった。『Electric Daisy Carnival(通称:EDC)』の来場者が急増しフェスでEDMが盛り上がりを見せ始めた2011年にアヴィーチーがリリースした「Levels」、そして2013年アメリカ・マイアミでの『ULTRA MUSIC FESTIVAL』で初披露した「Wake Me Up」はEDMシーンを語る上では外せない楽曲だろう。その後『ULTRA MUSIC FESTIVAL』が2014年に日本初上陸を果たし、国内でもEDMへの関心はどんどん拡大していった。
新しい音楽というのはいつの時代も賛否両論を呼ぶものだが、その革新性が認められEDMシーンの頂点に立ったアヴィーチー。惜しくも2018年4月20日に彼は急逝し、2019年6月7日にリリースした『TIM』は現在のところ彼の最後の作品となってしまった。「Heaven (David Guetta & MORTEN Tribute Remix)」のリリースをきっかけに、改めて『TIM』を聴き直したのだが、この作品を「遺作」と呼ばなければいけないことが悔しいとすら思ってしまうほど、発売から2カ月が経った今でもこの作品の力強さに圧倒されてしまう。“音楽は生き続ける”ということが証明されたような、なぜかとても前向きな気持ちにもさせられたし、皮肉なことかもしれないが、思えば彼の作品はいつだって生命力やエネルギーに満ち溢れていた。家族や共同プロデューサー達が、アヴィーチーの伝えたかった、届けようとした“意志”をここまで丁寧に伝えた作品を「最期」だなんてネガティブに捉えていてはいけないーー。そう思わされたのだ。