BEYOOOOONDS、なぜMVが次々話題に? 人気ハロプロ作品と共通する3つのキーワードから解説

 ハロプロ作品が大きな反響を呼ぶとき。それは結論から言えば「安心」「中毒性」「トンチキ」のいずれかが、作品内においてとびぬけて高くなっているときなのである。まずBEYOOOOONDSのメジャーデビューシングルに収録される3作品の中で、ファンにもっとも「安心」を感じさせてくれる楽曲といえば「眼鏡の男の子」だ。

BEYOOOOONDS『眼鏡の男の子』(BEYOOOOONDS [The boy with the glasses.])(Promotion Edit)

 しかも「眼鏡の男の子」の場合は、その「安心」の理由も、MVを通じて過去最高にわかりやすい形で表にでてくる。ヒントは再生して20秒で出てくる少女漫画の単行本。そう、ハロプロの楽曲とはつんく♂プロデュース時代から一貫して、いつの時代も「少女漫画」の目線でストーリーが動いていくのだ。

BEYOOOOONDS『眼鏡の男の子/ニッポンノD・N・A! /Go Waist』(通常盤A)

 ハロプロ作品には、少年漫画のヒロインのように男性目線の欲求も含めて描かれる48グループや、青年漫画のどこか憂いを帯びた美女を思わせる46グループとはまた違う、ハロプロ独自の女性像が存在する。安倍なつみや後藤真希ら黄金期メンバーの時代から脈々と受け継がれてきた「少女漫画っぽさ」、その伝統を見事に表現しきっている作品に出会ったときに、ハロプロリスナーは無意識に「安心」を覚えていくのである。

 ちなみにまだ辻希美、加護亜依がギリギリ在籍していた時期のモーニング娘。シングルで、やはりメンバーが漫画チックなやりとりを繰り広げる「女子かしまし物語」(2004年)という密かな人気作品があるのだが、「眼鏡の男の子」はそのMVをオマージュして制作されているという点も、かなり興味深い。

モーニング娘。 『女子かしまし物語』 (MV)

 続けてBEYOOOOONDSで「中毒性」を感じさせる楽曲といえば、『ニッポンノD・N・A!』がその要件を満たしているように思う。

BEYOOOOONDS『ニッポンノD・N・A!』(BEYOOOOONDS [The Japanese D・N・A!])(Promotion Edit)

 小気味いいユーロビートにあまり深い意味を感じさせない歌詞、思わず口ずさんでしまう「D・N・A!」の決めゼリフ……この辺りは言ってしまえば昨年大ヒットしたDA PUMP「U.S.A.」とかなり構造が似ているのだが、ただそこには件の「U.S.A.」が”ハロプロっぽい中毒性がある”という口コミから拡散が始まり、後のブレイクに繋がっていった時系列がある。

 つまりハロプロにしてみれば「中毒性」とは、「U.S.A.」以前から連綿と続く、自分たちの真っ当なアイデンティティのひとつなのである。そして今回の「ニッポンノD・N・A!」の場合は、楽曲だけでなくMVにおいても、思わずリピートしたくなるような仕掛けがたくさん提供されている。それはイントロの力が入ったラップシーンに始まり、会社の廊下を賑やかに駆け抜けていくメンバーの姿、また人によっては曲中に突然始まる「未成年の主張」のパロディシーンを例として挙げる人もいるだろう。

 ちなみにあのパロディシーンを見て「未成年の主張だ」とすぐ気づけてしまった方、元ネタの人気バラエティ番組『学校へ行こう!』(TBS系)はレギュラー放送が1997年から2005年と、もう15年以上前の話である。すなわち1999年から2004年生まれで構成されているBEYOOOOONDSメンバーは実際のところ、リアルタイムの「未成年の主張」をほぼ知らない可能性が高いのだ。

 そしてこの事実を知ることにより、余計際立ってくる作品の”深い意味のなさ”と”思わず言いたくなってしまう決めゼリフ”。その存在を思うとやはり「ニッポンノD・N・A!」はMVからしても、立派に「中毒性」の高いハロプロ作品に仕上がっているのである。

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