『前へ』インタビュー
Jewelが明かす、J☆Dee’Zからの改名と前向きな変化 「世界に通用するものを作り続けていきたい」
maeshima soshiが語る、『前へ』制作秘話
ーードレスコーズ「もろびとほろびて」のアレンジも、泉まくら「いのち」「エンドロール」「白濁」もいちリスナーとして聞かせてもらっていました。「前へ」は、Future Bassと2stepの要素が入った楽曲ですが、これはお題としてあらかじめあったものですか。それともmaeshimaさんのアイデアだったり?
maeshima soshi(以下、maeshima):四つ打ちは最初の段階から決まっていたことですね。そこから自分で作っていくなかで「もっとダンスありきの曲にしよう」と思った時に、縦ノリよりも横ノリのグルーヴが欲しくなって2stepにしてみたらハマったんです。
ーー横ノリだけなら他にも色んなジャンル・テイストがありますけど、そこでなぜ2stepを選び取ったんでしょうか。
maeshima:自分自身が好きだから、というのは大きいと思います。安心するビートでもあり、m-floの「come again」じゃないですけど、なんとなく耳馴染みのあるカッコいいヒット曲というか。
ーーグループが改名して、ビジュアルなども含めてワールドワイドに展開していくことを意識させる楽曲として、この2ジャンルを取り入れた攻めの曲になっていることに驚きました。とはいえ、ループの音楽というよりは、展開がコロコロと変わる構成になっているのも面白いです。
maeshima:やっぱり歌ものだから、ですね。クラブミュージックは展開よりも同じリフをループさせて、ビート・リズムのテンポを変えて抑揚をつけるわけですけど、J-POP的な抑揚の付けかたとしては展開を多くすることが正解なんじゃないかと思ったんです。あと、音が極端に差し引かれたり、ドラムを抜いた隙間を作ることも意識しました。これは完全に僕の趣味なんですけど(笑)。
ーー音を抜くことでハッとするメリハリが出ますよね。
maeshima:そうなんです。我に返る瞬間というか。あと、ワールドワイドな展開という風にお話されていましたけど、僕としてはトレンドを意識するというより、10年後・20年後に“古くもあるけど新しい”と解釈して聴ける曲なのかなと。すぐに古く聞こえないような音を意識して作ったところはあります。
ーー“古くもあるけど新しい”という意味では、Future Bassと2stepも取り入れながら、コード感はジャズ〜R&Bっぽい王道なものを使っている印象を受けました。
maeshima:最近のR&BやK-POPでもよく使われているコードなんですよ。韓国R&BのSik-Kやトラップ・ヒップホップあたりからの影響があるのかもしれないです。僕自身、コード進行の中でも半音上がる音みたいなものはよく使っていますね。それは意図的というより、ここ2〜3年で「飽きてきたから1つ音を変えてみよう」と繰り返しているうちにこうなったんだと思います(笑)。
ーー作っていくなかで、曲の骨子が完璧に定まった瞬間は?
maeshima:1回目の音源提出前なんですけど、1番と2番の間奏が決まった時点で「これは絶対いい曲になる」と思いました。
ーーアウトロの終わり方も、エレピの音だけになってスッと引く瞬間が印象的ですね。
maeshima:アウトロはクールダウンするのが好きなんですけど、100から0になる展開が好きというか。その前はカットアップも含めて一番盛り上がる箇所になっていたので、思いっきり引いてみました。
ーー〈yeah 今前へ yeah〉の部分にも顕著ですが、英詞っぽく聞こえる作詞のギミックも使われています。仮歌段階では英詞だったりしたんですか?
maeshima:いえ、仮歌詞の段階から完全に日本語でした。ただ、言葉の響きとメロディの相性だけで作ったので、意味的には支離滅裂なものになってしまっていました。それをイワツボコーダイさんが響きをなるべく変えないまま、J-POPの歌詞として通じるように整えてくださって、すごくありがたかったです。〈紙にハサミ入れてく瞬間〉なんて歌詞、普通思いつかないですよね。改めて作詞家の方のすごさを感じました。
Jewelの歌声に感じた“強さ”
ーーこれまで手がけてきたアーティストはソロアーティストのみでしたが、3人組に曲を作るうえでは歌を割ったり、コーラスワークを考えたりする必要もあったわけですよね。
maeshima:ああ、たしかにそうですね。
ーーそこで意識したり、制約となった部分はありましたか。
maeshima:メロディを作る際にはやはり意識しましたね。でも、ソロよりもやりやすかったかもしれないです。ソロだとメロディと歌がぶつからないようにしてるんですよ。よくある最後のサビで歌と同期のコーラスがユニゾンしてるものとかがあまり好きじゃなくて。基本的にライブでも普通に歌えるようにするものが好きなんですけど、3人いればそこもコーラスワークで補えるからぶつかっても大丈夫ですし、歌に厚みも出るので。
ーーたしかに、音数が多くなっても歌の邪魔にならないところもありそうですね。これまで手がけてきた曲よりトラック数も多そうですし。
maeshima:音数・トラック数は多かったですね、作っていてどれかわからなくなってくるくらいに(笑)。
ーー最終的に歌入れ・ミックス・マスタリングを終えたものを聞いた感想は?
maeshima:抜けが良くなったのが印象的でしたし、ハモリも良かったですね。最終的に歌として混ざっているものを聴いたときに「カッコいいな」と思いました。あと、クラブサウンドに寄りすぎないかも自分のなかでは心配だったのですが、J-POPとしても成立するように整えてくださったなと。
ーークラブサウンドに寄りすぎて欲しくなかったんですね。
maeshima:そっちに寄せすぎると、界隈に聞かせるだけの歌になっちゃいそうで。J-POPシーンにクラブサウンドが入っている、という姿勢のほうが良いんじゃないかと思ってたんです。
ーー3人の声に関してはどうですか?
maeshima:強さを感じたんですよ。アタックが強い声というか。打楽器みたいなハネてる感じがグルーヴになっていて良いなと思いました。あと、歌詞に意味が出てきたので感情もいい形で付いてきたなと。歌詞的にもトピック的にもどうなるのかという不安な感じが歌い方にもしっかり出ているように感じました。それは作曲の段階では出ない部分だと思うので。
(取材・文=中村拓海/写真=林直幸)
■リリース情報
Jewel『前へ』
2019年7月24日(水)発売
『前へ』先行配信中
初回生産限定盤:¥2,000(税込)¥1,852(税抜)
※DVDには、2019年4月27日に横浜BAYHALLにて開催された『J☆Dee’Z Spring tour 2019〜Music Athletic!!!』TOUR FINALの模様を収録
通常盤:(SRCL-11212)/¥1,200(税込)¥1,111(税抜)
<CD収録内容>
M1.前へ
M2.アシタノアタシ
M3.Jewel-next story-
M4.手紙〜拝啓 十五の君へ〜
<DVD収録内容>
『J☆Dee’Z Spring tour 2019〜Music Athletic!!!』
2019.04.27 TOUR FINAL@横浜BAYHALL
1.Opening
2. Athletic!!! メドレー
(Dream Arch〜Dance Dance Solution〜Beasty Girls〜Secret Dancer)
3. Fun Time Funk!!!
4. 明日も、世界は回るから。
5. Answer
6.いますぐに会いたい
■ライブ情報
フリーライブ
日時:2019年7月24日(水)19:00〜
会場:タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUP STUDIO」
入場無料
※詳しくはHPにて
『【BREAK IT DOWN】ライブ&トークショー 2019』
出演:KEN THE 390、J ☆Dee'Z、YU-A、GROOVE ASYLUM (Dickey’s Band)
日時:2019年7月27日(土) 開場 15:00 開演 16:00
会場:イベントホール メロディライン
チケット: ¥4,500(税込/1ドリンク付き/全席指定)
※取扱いプレイガイド:チケットぴあ TEL:0570-02-9999 (Pコード/153-186)
販売期間:5月27日(月)10:00〜7月24日(水)〜23:59