桑田佳祐、サザン新曲初オンエアで語った曲作りへの思い「時代はどんどん変わっても、音楽だけは怠けちゃいけない」

桑田佳祐、サザン新曲初OAで曲作りへの思い語る

 桑田佳祐がMCを務める『ニッポンハム ムーンライト・ミーティング 桑田佳祐のやさしい夜遊び』(JFN系38局ネット)の7月13日放送回で、サザンオールスターズの新曲「愛はスローにちょっとずつ」が初オンエアされた。

 冒頭、「間もなく海の日。我が故郷・茅ヶ崎では夏の到来を告げる恒例行事『浜降祭』が行なわれます。とは言え、梅雨のさなかで天候不順。海に入る際はくれぐれも、“スローにちょっとずつ”お願いします」と、さり気なく新曲に絡めた挨拶をした桑田。「ツアー中から熟成させておりました、サザンオールスターズの新曲、『愛はスローにちょっとずつ(仮)』を今宵、初オンエアということでございます」と宣言した。

 サザンオールスターズが40周年を記念し、バンド史上最大の6大ドームを含む全11箇所22公演を行なった、全国ツアー『“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!』。桑田はその合間に、この新曲のレコーディングを重ねていたことを明かす。多忙を極めるなかで、「前に進んでいるのか、後ろに下がっているのかわからない」というほど、細やかに調整を続けてきたという。その妥協のない姿勢に、音源への期待が高まっていく。

 ネットで初オンエアの情報を知ったというリスナーからは、「非常に楽しみにしています。『(仮)』の曲のタイトルが、正式にどうなったのかすごく気になります」とのメッセージも。冒頭の挨拶でも「(仮)」がつけられていたが、「ツアーを経て、一応(“仮”は)取れたのかなと」と桑田。『やさしい夜遊び』で新曲を披露する際の恒例になっている、歌詞の朗読が始まった。

 〈とりとめのない夢 独り寝のララバイ この腕を枕に 眠る君はもういない〉の一節から始まる、切なくもあたたかな歌詞。ツアーファイナルで聴いた際にも思ったことだが、最近の楽曲を考えても、「闘う戦士(もの)たちに愛を込めて」のように社会的なメッセージを歌い上げることも、「壮年JUMP」のように弾むようなポップスを届けることも、原由子の歌唱による「北鎌倉の思い出」のように優しく幻想的な世界を描き出すことも、何でもできるサザンオールスターズが、このように瑞々しいセンチメンタリズムをたたえた楽曲を新たな一歩として提示したことが、ファンとしてはなんともうれしい。40周年の節目を超え、さらに成熟していくだけでなく、これまでのように人々の胸の奥にある思いを丁寧に拾い上げながら、実ったばかりの果実のような楽曲も届けてくれるのだから。

 そしていよいよオンエアされた「愛はスローにちょっとずつ」は、冒頭から原由子の編曲による鍵盤とストリングスが印象的だ。どこまでも美しい楽曲で、桑田の優しくおおらかな歌唱が胸に残る。リスナーから「何事も焦らずにゆっくりと、なんだと教えられます。明るい未来が見えてきました」という声が届いていたように、一聴すると救われない主人公の切ない心情を表した歌詞にも思えたが、どこか前向きに大切なメッセージを伝えてくれる一曲だ。まるでドラマや映画の主題歌として聴き慣れた一曲のように、シーンごとに情景が浮かび、さすがサザンオールスターズと唸らされる。

 桑田は最後に、「時代はどんどん変わって、我々は年を取るんですけども、音楽というのは自分たちの人生のなかで、ここだけは怠けちゃいけない、大切にしようという気持ちがあるんでしょうね。スローにちょっとずつ、やってきました」と、新曲に込めた思いの一端を明かした。リリースは未定とのことだが、ファンにとっては早くも、この夏を代表する一曲になりつつある。

(文=橋川良寛)

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『ニッポンハム ムーンライト・ミーティング 桑田佳祐のやさしい夜遊び』

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