黒崎真音×ZAQが語る、アニソン歌手としての危機感とサバイブ術「ギリギリのところで戦ってる」

黒崎真音×ZAQ、アニソン歌手サバイブ術

タイアップは“いただく”が、歌は“歌わされない”

ーー「アニメラバーである」という事実は黒崎さんにもZAQさんにも通底する普遍的な大前提なんだけど、アニメを観てなにに感動したのか? なにに萌えたのか? はあくまで人それぞれだから、表現はまったく違うものになる、と。

ZAQ:タイアップはいただくものなんだけど、歌は歌わされるものじゃないんですよね。

黒崎:それはまさに真理で、私たちがなくしちゃいけないポリシーなんですよね。

ZAQ:アニソンシンガーという看板を掲げている以上、どのシングル、どのアルバムも「この1枚が自分の人生を変えるんだ」って意識で作ってますからね。

黒崎:遺作になってもいいや、って思ってるよね。

ZAQ:まさにこのあいだ真音さんがそういうツイートをなさった直後にタイ料理屋さんで一緒にごはんをしたんですよ(笑)。「重大発表があります」って予告してから「新しいアルバムがリリースされます。そんなの重大発表だと思わない人もいるかもしれないけど、これは当たり前のことじゃないんです」って。

黒崎:アルバムを出すことも、タイアップをいただけることもいろんな出会いが重なった上でいただけたチャンスだから。140文字の中でそれは伝えたかったんです。

ZAQ:それにグッときて。実際、真音さんが危惧するとおり、ファンの中には「なんだよ、新譜のリリースかよ」って思った人もいるかと思うんです。

ーー女性ミュージシャンにせよ「重大発表」って言われたら、ファンはまず「引退」「結婚」って単語が頭によぎります。

ZAQ:でも私たちにとってCDリリースっていうのは結婚、引退級に大事なことなんですよ。

黒崎:「重大発表!」って言っちゃったのはやり過ぎたかな? とも思うし、ミュージシャンにとって新曲や新譜のリリースって通常業務のひとつだと思われるかもしれないけど、実際のところはこれはこれですごく重大なことだし、それだけにちゃんと自分の音楽を聴いてもらいたいんです。私はもうデビュー9年目になるんですけど、初期からのファンの方は当然9歳年をとってるわけですよね。そうなると家庭を持ったり、お子さんが生まれたり、皆さんの身の回りにもいろいろな変化が起きて、ライブに遊びに来たり、CDを買ったりっていうことが難しくなるケースもたくさんあると思うんです。実際、9年前と今のライブの客席の風景って全然違いますし。

ZAQ:私たち自身がが変わるように、客席やフロアの顔ぶれも変わりますよね。

黒崎:それってつまり、私のことを全然知らない人たちが増えるってことだとも思っていて。であれば、そういう若い子たちにちゃんと伝えなきゃ、届けなきゃ、っていう思いが強かったから、ああいうツイートになったんですよね。あらためて「黒崎真音、そしてZAQは今もここに立ってやってるぞ!」っていうのをいかに伝えるかっていうことは、めっちゃ考えてますね。

ZAQ:「この際、TikTokとかスナチャ(Snapchat)とかを始めてみたら、みんな面白がってくれるかな?」ってくらい考えますよ(笑)。

黒崎:私は今Twitterもやっていれば、Instagramもやってるし、Weiboもブログもやっている。特にインスタのストーリーなんて常に10本くらいの動画や写真が上がってるくらい発信しまくっているんですけど、まだまだやるべきだな、と思うしね。それをやることでファンの方がノってくれて、黒崎真音チームも納得するのであれば、本当にTikTokなどを使ってでもバズを起こしたいから。

ーーもはやされ尽くされた議論でもあるんですけど、表現者にとって難儀な時代でもありますね。おふたりとも単に曲を作って歌っていればいいだけではない。インターネットがある以上、CDリリース前、ライブ前のプロモーションをはじめとした発信活動もしなきゃいけない。

黒崎:私はホントにまだまだ発信したいんですけどね。それこそ活動のフィールドはネットに限らなくてもいいと思っているし。

ーー以前もイラストやマンガ・アニメ・ゲームの原案みたいな表現を模索してもいいんじゃないか、っておっしゃってましたよね。

黒崎:声優アーティストさんがまさにそうじゃないですか。お芝居をするだけじゃなくて、CDもリリースするし、ライブもやるし。その逆に私たちアニソンアーティストももっと自由であってもいいと思うんですよ。実際ZAQちゃんはミュージカルもやってるし、それを観に行ったんですけど「ZAQちゃん、スゲー!」ってなりましたから。

ZAQ:いやいやいや。あなたもミュージカル、しかも立ち回りまでやってるでしょうが!(笑)。

黒崎:でもそのくらいマルチにやっていくべきだっていうことは提唱していきたいですね。さっきの話に戻るんですけど、アニソンアーティストってタイアップがないと成り立たない職業なので、すごく危ういんですよ。まずアニメ、アニメソングというものが存在しないと生きていけない生き物なので。まあ向こう10年、20年後にアニメやアニメソングって文化がなくなったりはしないと思うんですけど……。

ーーたぶんテレビでは毎シーズン何十本かの新作アニメが放送され続けるだろうし、その作品に歌を当てる人のニーズもあるはずですよね。

ZAQ:ただ世代交代は確実にありますから。若い子たちはバンバン出てきてるし、これは楽曲提供もさせてもらっている私の実感なんですけど、アニメの担当声優さんが組んだユニットの曲のほうが強い時代でもありますし。

黒崎:だから私たちがそういうシーンの中でも死なないための回路を用意しておきたいんです。それは今回のアルバムのオリジナル曲みたいな“黒崎真音ならではの音楽表現”でももちろんいいんだけど、お芝居でも、絵でも文章でもいいし、SNSでもいい。とにかくなんらかのインフルエンスは起こし続けて、「アニソンシンガーに憧れてアニソンシンガーになりました」っていう、私たちの姿を見た若い子に出てきてほしいんですよね。

ZAQ:あっ、最初の質問に話が戻っちゃうんですけど、真音さんとご一緒するとそういう話をいつもしてます(笑)。

黒崎:だって私たちなんてホントにいついなくなっても……。

黒崎・ZAQ:おかしくないっ!

ーーイヤなユニゾンですねえ(笑)。

黒崎:アニソンシンガーって職業を知っている人ってアニメやアニソンが好きな人限定なんじゃないかな、って思ってますから。友だちの友だちとか、海外の知り合いなんかに初対面の時「なにをしてる人なの?」って聞かれて「アニソンシンガー」って答えると、必ず「えっ、それなに?」って聞かれるし、それに「アニメのテーマソングを歌う仕事でね……」って返すと「へえ、そんな仕事あるの」って言われますから。

ZAQ:アニソンシンガーあるあるですよね。

黒崎:しかもiPhone1台あれば文字でも音声でも写真でも動画でもリアルタイムに発信できる時代なんだから、私たちみたいな職業の人間は積極的にネットを活用して、外に打って出るべきだとは思ってますね。そういう意味でも「音楽」というフィールドの中だけですら、自由に幅広い表現をしているZAQちゃんっていいな、って思ってるんですけどね。

ーーそうやってシンガーソングライターとしての心意気や、アニメソングシーンにおける危機感みたいなものを共有しているおふたりだけに、こういう対談だけじゃなくて、なんらかの形で共演しても面白いのかな? なんて気もするんですけど……。

ZAQ:(やたらといい発音で)ツーマンライブ!

黒崎:うん。『超会議』のときに「INSIDE IDENTITY」でコラボさせてもらったとき〈誰かに貰った快楽が 僕の幸せとは限らないぜ〉の歌詞のところでゾクッとしたんだよね。

ZAQ:あの曲を作った頃は尖りまくってましたから(笑)。今はだいぶん更正したので、ああいう歌詞は書かないかと……。

黒崎:えーっ! 「ホントにその通りだよなあ」と思いながら歌ってたのに。

ZAQ:だからすごく楽しかったし、また一緒に歌いたいですね。今度はお互いの曲を交換しても面白そうだし。

ーーZAQさんはアマチュア時代に歌い倒した「UNDER/SHAFT」を歌い……。

黒崎:私、ZAQちゃんの「Sparkling Daydream」を歌いたい!

ZAQ:いいですね! しかもアニソンじゃなきゃそういうコラボライブって当たり前のことですしね。

ーーバンドにせよ、ライブアイドルにせよ、対バンライブって日常ですよね。

黒崎:しかもアニソンシーンって横の繋がりが強いというか「アニソンシンガーも声優さんも、大御所も新人さんもみんな仲間」っていう意識があるから、特に一緒にやるべきだと思うんですよ。

ZAQ:ホントにバンドさんやアイドルさんに負けてらんねえ、っていう……。

黒崎:危機感は常に持ってます。

ZAQ:我々はそういうギリギリのところで戦ってるんです(笑)。

(取材・文=成松哲/写真=堀内彩香)

■リリース情報
黒崎真音『Beloved One』
初回限定盤(2CD)¥4,500+税
通常盤(CD)¥3,000+税

<収録曲>
M01.アイヲツナイデ-Angel of the wheel-
作曲:generatiONmaster
M02.Gravitation(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」オープニングテーマ)
作詞:川田まみ  作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M03.Brand new,Standing wings(CR東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞:黒崎真音 作曲:高瀬一矢 編曲:高瀬一矢
M04.Beginning☆Journey
作詞:黒崎真音 作曲:佐高陵平 編曲:佐高陵平
M05.peko peko peach♡
作詞:黒崎真音 作曲:齋藤真也 編曲:齋藤真也
M06.décadence-デカダンス-(TVアニメ「されど罪人は竜と踊る」エンディングテーマ)
作詞:黒崎真音、akane  作曲:藤井亮太・奈須野新平  編曲:藤井亮太・奈須野新平
M07.A.I.D
作詞:黒崎真音 作曲:頓宮秀人(KEYTONE) 編曲:頓宮秀人(KEYTONE)
M08.Renka.
作詞 :黒崎真音  作曲:板倉孝徳  編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M09.Black bird
作詞:黒崎真音  作曲:宮崎京一(KEYTONE)  編曲:宮崎京一(KEYTONE)
M10.僕だけが世界から消えても
作詞:黒崎真音・Yo-Hey(KEYTONE)作曲: Yo-Hey(KEYTONE)
編曲 : 飯田涼太(KEYTONE)、generatiONmaster
M11.幻想の輪舞(「グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION」オープニングテーマ)
作詞:桑島由一 作曲:藤間仁(Elements Garden) 編曲:藤間仁(Elements Garden)
M12.New world order(CR 東京レイヴンズ 搭載曲)
作詞 : 黒崎真音  作曲 : 中沢伴行  編曲 : 中沢伴行
M13.ROAR(TVアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」新オープニングテーマ)
作詞:黒崎真音 作曲:中沢伴行 編曲:中沢伴行、尾崎武士
M14.Beloved One!
作詞 :黒崎真音 作曲 :井内舞子 編曲 :井内舞子

<初回限定盤特典>
ノンストップクラブミックスCD
『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化

<特典CD収録曲>
とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜
(『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌を黒崎真音歌唱によりノンストップクラブミックス化!)
PHOTO BOOK(24P)

とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)〜DJmix〜収録曲
PSI-missing (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
雨 (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
Rimless~フチナシノセカイ~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
masterpiece (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』OP)
誓い言~スコシだけもう一度~ (IKU 『とある魔術の禁書目録』ED)
Jellyfish (川田まみ 『とある魔術の禁書目録』挿入歌)
No buts! (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
Magic∞world  (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
See visionS (川田まみ 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』OP)
メモリーズ・ラスト (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅱ』ED)
Gravitation (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
ROAR (黒崎真音 『とある魔術の禁書目録Ⅲ』OP)
FIXED STAR (川田まみ 劇場版『とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-』ED)
ANSWER (黒崎真音 PSP(R)専用 3D対戦格闘アクション『とある魔術の禁書目録』OP)
Snap out of it!! (川田まみ&黒崎真音 『とある魔術の禁書目録』イメージソング)

Mixed by DJ WILDPARTY
(収録曲はすべて黒崎真音歌唱です。ただし、「Snap out of it!!」に関しては川田まみとのデュエットとなります。特典CDの収録順ではありません)

■リリースイベント
5月25日(土)アニメイト秋葉原別館 5F
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

5月26日(日)アニメイト仙台
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会 “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月1日(土)アニメイト新潟
【1回目】13:30開場/14:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月2日(日)ソフマップAKIBA④号店 アミューズメント館8Fイベントスペース
11:30開場/12:00開演
内容:私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月2日(日)とらのあな秋葉原店C 4Fイベントスペース
14:30開場/15:00開演
内容:握手会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月8日(土)とらのあななんば店A コミュニケーションスペース
15:00開場/15:30開演
内容:私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月8日(土)ゲーマーズなんば店
18:00開場/18:30開演
内容:握手会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月9日(日)第3太閤ビル(名古屋)
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月9日(日)とらのあな名古屋店
15:30開場/16:00開演
内容:握手会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月15日(土) アニメイト秋葉原本館 7F
12:30開場/13:00開演
内容:私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月16日(日) アニメイト広島
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演
<内容>
【1回目】私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月19日(水)アニメイト池袋本店9Fイベントホール
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月20日(木) とらのあな秋葉原店 C 4Fイベントスペース
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月21日(金)AKIHABARAゲーマーズ本店6F
18:30開場/19:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

 6月22日(土)ゲーマーズなんば店
11:30開場/12:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月22日(土) ソフマップなんば店8Fイベントスペース
15:30開場/16:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月23日(日)ソフマップAKIBA④号店 アミューズメント館8Fイベントスペース
11:30開場/12:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月23日(日)アニメイト秋葉原別館 5F
14:30開場/15:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制) “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月29日(土)アニメイト札幌
【1回目】12:30開場/13:00開演
【2回目】15:30開場/16:00開演

<内容>
【1回目】私物サイン会  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
【2回目】握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月30日(日)とらのあな名古屋
13:30開場/14:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”

6月30日(日)タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
16:30開場/17:00開演
内容:握手会・CDサイン会(選択制)  “スマホで撮ろう10秒チャレンジ”
※詳細は公式サイトまで

黒崎真音公式サイト

■ZAQ最新リリース
『ソラノネ』/ZAQ
発売中
1.ソラノネ(TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』オープニング主題歌)
2.カゼノワ(ゲーム『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』主題歌)
3.ソラノネ(Off Vocal)
4.カゼノワ(Off Vocal)
¥1,200+税

TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』エンディング主題歌『翼を持つ者たち』
発売中
¥1,200+税

ZAQ公式サイト
『荒野のコトブキ飛行隊』公式サイト

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