EXID、WINNER、NCT 127……注目グループの新作に見る、K-POPメジャーシーンの潮流
NCT 127『WE ARE SUPERHUMAN』(2019年5月24日リリース)
1曲のみが先行公開されて以来、だいぶ待たされた感のあるニューアルバム。だが、待ったかいがあったと痛感するほど魅力的な楽曲が並んでいる。
中でも耳を引くのはリードトラックの「SUPERHUMAN」だ。コンプレクストロと呼ばれるジャンルのサウンドで、勢いのあるボーカルとラップで発信するポジティブなメッセージが印象に残る。他にもトロピカルなムードに包まれたダンスポップ「あっ、びっくりした(FOOL)」やアーバンR&B「時差(Jet Lag)」など、収録されている楽曲はいずれも“スタイリッシュ”という表現がよく似合う。
特にそう思わせるのが、先行公開された「Highway to Heaven」である。80年代のエレクトロポップを意識した音作りは“懐かしさ”と“新しさ”の境界線上を進んでいく。本作のトップに置かれたこの曲と「SUPERHUMAN」が放つまぶしいほどのオーラは、彼らが近い将来に“第2のBTS”的な存在になることを暗示しているのかもしれない。
個性の強い3組ゆえに共通するものはそれほど多くないが、やはりどのアルバムもフューチャーファンクを多少は意識して制作しているようだ。レトロな音色で組み立てながらリズムは音圧が高くフロア仕様に。この方向に進むアーティストは今後増えていくはずだ。まもなくK-POPのメジャーシーンの大きな潮流になるのは間違いないだろう。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。