輝夜 月、月面を舞台にした前人未到のアドベンチャー 『ZeppVR2』レポート

輝夜 月、『ZeppVR2』レポート

 いよいよタワーの頂上に到着すると、目の前には巨大なモニターとスピーカー、そして満天の星空を望む超豪華なライブ空間が登場。ラスト曲として披露されたのは、現時点での最新シングルとなる「NEW ERA」だ。この楽曲は彼女自身が考案した〈超世紀/誕生/ぱんぱかぱーん〉というキラーフレーズを筆頭に、〈お祭り騒ぎしすぎちゃって/「やりすぎ」「ありえない」って言われても/ヤバ!もっとやってやろうかな〉という彼女らしい言葉を詰め込んだ、新時代を告げるポップチューン。何層にも重ねられた壮大なコーラスとロックサウンドが融合した、Queenを思わせる楽曲になっている。そのためか、この日はマイクスタンドもフレディ・マーキュリーを思わせるものになっており、座り込んでマイクで熱唱する光景もフレディの魂が乗り移ったような雰囲気だ。気づけばLOWGUYSも一緒にペンライトを振っていて、多くの人々と分け隔てなく「楽しい」を共有する彼女らしい雰囲気が会場を覆う。最後は観客に感謝を伝え、ふたたびロケットに乗り込んで宇宙空間へと消えた。

 序盤からハラハラさせられっぱなしのストーリー、物理法則を無視してステージ/衣装が変化するVRライブ特有の演出、そしてキレッキレのパフォーマンス。VRライブならではの可能性に向き合いつつ、それを陽性の楽しさで一点突破していく雰囲気が印象的だった。

 こうして新時代を迎えた輝夜 月は、果たして令和ではどんな活躍を見せてくれるのだろう。そして、これからどんな「ワクワク」や「楽しい」を届けてくれるのだろうーー。キズナアイらとともに黎明期からバーチャルYouTuberという未開の大地を突き進み、その活動を通して新たな扉を次々に開いてきた彼女は、これからもリスナーをまだ見ぬ未来へと連れて行ってくれるに違いない。そんな彼女の今後が、ますます楽しみになるライブだった。

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(文=杉山仁)

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