槇原敬之は「世界に一つだけの花」を歌い継いでいく 楽曲通じて伝えるメッセージとSMAPへの敬意

 さらに、槇原はこの曲について、「自分が一番になりたいということだけのために、ともすれば人を蹴落としてそれを手に入れているような時代がちょっと前まであった。『何と嘆かわしいことをしているんだ』というのがテーマ」と語っている。同曲を収録したアルバムが発売されたのは2002年=平成14年という、ちょうど平成の真ん中。当時、日本は不況の最中だった。槇原が「ちょっと前」と語るのは、バブル崩壊前のことだろう。戦後復興・経済成長を最大目標に掲げて走ってきた昭和から、人それぞれの幸せとは何かを考えるようになった平成。〈そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい〉という歌詞は、自分の存在意義や、頑張るべき方向に迷っていた人々に、圧倒的な肯定感を与えたと言えるだろう。〈小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one〉は、他者を認める大切さを歌い、何より平和を願う時代を象徴していた。この楽曲は平成という時代に、日本人が求めていたこと、そして進むべき未来への道標を、あたたかく示してくれたのだった。

 槙原は、SMAP解散発表直後に出演したラジオ番組で「歌い継ぐのは僕らしかいない!」と宣言した。今晩、“平成最後”の『Mステ』で、一人一人がオンリーワンであることを認め合い、花を咲かせる令和の時代に向けて、槇原が「世界に一つだけの花」を歌い継いでいく。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

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