Blu-ray『BULLET TRAIN Arena Tour 2018 GOLDEN EPOCH AT SAITAMA SUPER ARENA』インタビュー
超特急が振り返る、初のSSA公演と新たな夢「僕らの黄金時代はまだ始まったばかり」
“ダサかっこいい”のイメージを覆すようにグループとしての最新モードを提示したアルバム『GOLDEN EPOCH』を引っ提げ、2018年末に東西で約5万人を動員した超特急の『GOLDEN EPOCH』ツアー。“黄金時代”の幕開けにふさわしい進化&深化したステージを見せた初のさいたまスーパーアリーナ公演のBlu-rayが、早くもリリースされる。華々しく幕を閉じたこのアリーナツアーを経て、自己最大の33カ所、約10万人を動員する全国ツアー『EUPHORIA 〜Breakthrough, The Six Brave Stars〜』(4~8月開催)へと、どのように夢をつなげていくのだろうか。ここでは当日初披露された『GOLDEN EPOCH』収録曲を中心に、その裏側のエピソードや現在のライブへの向き合い方について聞いてみた。(古知屋ジュン)
“時代”というものをフィーチャーしたライブ(ユーキ)
ーー『GOLDEN EPOCH』は『Sweetest Battlefield』に続く2018年2回目のアリーナツアーになりましたが、初めてのさいたまスーパーアリーナ(以下、SSA)にはどういう気持ちで臨まれたんでしょうか。
カイ:2018年の締めくくりであり集大成といえるツアーですし、とにかく楽しんでいこう! という気持ちで、ワクワクしていたと思います。2018年はライブづくしの年で、各地のフェスをはじめたくさんライブをさせてもらったので、いろんなところで培った今の超特急なりの見せ方というものをしっかり出せたらいいなと思っていました。
リョウガ:その前の『Sweetest Battlefield』はノンストップ構成だったので、思い返すと必死な部分もあったんですよね。今回も全力でやることに変わりはないですが、今回は僕らのメッセージをひとつのショーとして伝えるということを重視したかったので、どっしり構えていきたいという気持ちがみんなの中にあった気がします。あとSSAは『アニサマ(Animelo Summer Live)』などでおなじみのアニソンの聖地でもあるので、個人的にもスイッチが入るような感覚がありましたね。
ーーアルバムを携えたツアーということで、これまでになく初披露の新曲が多かったというのも特徴的ですよね。
タクヤ:新曲が多いと、いつものライブ以上に気が抜けない感覚になったりもするんですけど。とはいえ、リョウガが言ったように『Sweetest Battlefield』のときよりはみんな少し余裕が出たというか、落ち着きを保った形でライブに挑めたのかな。
ユーキ:“黄金時代”というタイトルもそうですけど、もうすぐ元号が変わることもあって、“時代”というものをフィーチャーしようというライブで。セットリストでも超特急の時代を振り返りながら、アルバムで提示した今現在の超特急と、初期の頃の超特急を対比させつつ、その中で超特急らしさというものを垣間見てもらえたんじゃないかなと。
ユースケ:ダンスに特化した曲が多かったのも、個人的には気合いが入ったポイントでした。『Sweetest Battlefield』のライブ映像を見返してみて、自分なりのダンスをもっと研究したいなと思っていたんです。SSAが決まってからリハーサルを重ねる中で、振りを大きく見せることだとか、今後ずっと課題になるであろうダンスを自分の中でかみ砕いていく期間を過ごしていたので。
ーー初のSSA公演ということで、それぞれの中で目標なり課題があったと思うんですが、タカシさんは初めてボイストレーナーを帯同する形でツアーに臨まれたと聞いてます。
タカシ:見せ方の多彩な超特急の楽曲やライブと向き合う中で、ボーカリストとして判断に迷うこともすごく多いんですね。昨年からお世話になっているボイストレーナーさんがSSAみたいな大きな会場を何十回も経験していらっしゃる方だったので、初めてツアーでもサポートをお願いしまして。もちろん緊張や不安も抱えながら本番5分前とかまで調整に調整を重ねて、ステージに立ったんですけど。だからこそどっしり構えてあの場に臨めたんだなと、今振り返ると思います。
ーーここからライブの中身について聞いていきたいんですが。冒頭に下りてきた巨大スロープには度肝を抜かれました。
ユーキ:導入部分って大事じゃないですか。8号車のみんなをびっくりさせるような、今までにないオープニングについてアイデアを出し合っていたときに「上から出てきたいよね?」って話になって。一緒に演出をやってもらっている演出家さんと黄金時代らしい華やかな登場の仕方をあれこれ話し合った中で、他のアーティストが使ってないようなでっかいスロープが天井から降りてきてそこから僕たちが出てくる、みたいにSSAではしようということになりました。ーースロープの一番上はかなり高さがあったと思いますけど、そこから見た景色はいかがでした?
カイ:最初はスモークでよく見えなかったんですけど、スモークが切れた瞬間の視界がすごくキレイでした。スロープの上だと後ろのほうの400、500レベルの方々とだいたい同じくらいの高さになるんですけど、同じ目線に立てるのってすごくうれしいんですよね。それは武道館のときにも思ったんですけど、普段あまり同じ目線に立つことができない奥の方の席の方と同じ目線から臨めたのもよかったと思います。
タクヤ:僕は高所恐怖症なんで、スロープを登りきったところでリハやってたときはさすがに怖くて。でも、本番では別に……というか、始まっちゃうとそれどころじゃなくなるので、大丈夫でした!(笑)。
ーー宇宙ステーションのようなセットが「need you」のMVを思い出させるイメージで。あのMVは“運命の人”を探し求めてみなさんがいろんな惑星をさまよう、みたいな設定だったと思いますが、銀河系をさまよった末に8号車のもとに帰ってきた……みたいな解釈でOKですか?
ユーキ:間違いないです(笑)。「need you」はアルバムのリード曲でもあるので、まさにあのMVを意識したセットでしたね。ああいう近未来っぽく壮大な雰囲気の中、黄金時代にふさわしく、華やかに僕たちがみなさんのところに降臨! みたいなイメージでした。
ーー初期の代表曲の1つである「No.1」(2013年発表)を、スロープの構造を活かして縦1列のフォーメーションで踊ったのも、個人的には超特急の歴史と進化を感じさせる演出だと思いました。序盤は懐かしい曲、「BREAK OFF」からは最新の超特急の踊れるナンバーという構成だったと思います。SSAで初披露された曲を中心に話を聞いていきたいんですが、中毒性のある「PUMP ME UP」は平成初期に流行ったパラパラを取り入れた振付でしたね。
ユーキ:みんな頑張って“無”になって踊りました。曲調が明るいから笑顔になりがちですけど、そこはパラパラなんであまり表情に変化を出さないように。でもタカシは歌いながらですからね。歌ってみてどうだった?
タカシ:僕は歌いながら無になるのがむちゃくちゃムズかったですね。この曲では声は明るかったりはっちゃけてるけど、顔は無表情じゃないといけないという矛盾が起きてるので(笑)。首から上と下を別個に考えないといけなくて、この日のセットリストの中でも苦戦しました。
ーーそんな中、センターのタクヤさんが無表情からの仕上がった顔芸を繰り出していて。
タクヤ:自分の中では基本的に、遠くの一点を見つめて無で踊るっていうのを心がけてましたね。サビとかでわっと騒ぐところでぱっと表情を変えるので、そこで上手くギャップが見せられたらと思って。この曲の振付は簡単そうに見えると思うんですけど、1サビ2サビで動きが微妙に違ったりして実はややこしいんですよ。
ユーキ:最後のアウトロのところに、振りがギュッと詰め込まれてたりしてね。
ユースケ:そういうところが(多数の超特急楽曲の振付を手掛ける)えんどぅさんっぽくもありますよね。今までの超特急にはない雰囲気で、なおかつ8号車のみんなも一緒に踊れるような振付になっているから楽しい曲だと思います。
ーーパラパラ通過世代の私の個人的な感想なんですが、カイさんのパラパラが異常に完成度が高かったと思います。
カイ:まあ、根がギャルなんで、ギャルのハートで踊ったんで。マルキュー(109)大好き! みたいな。
リョウガ:どっから出てきたそのキャラ!?
カイ:多分メンバーも見てたと思うんですけど、振り入れの前後にYouTubeで当時のパラパラの動画をチェックしていて。あと僕はドラマの『ギャルサー』(2006年)を昔見てたので、そのときの気持ちを思い出して踊りました!
ーー今回のツアーでフックになった演出の1つが、最新アルバム収録の「need you」の振付に登場する過去の楽曲を、時間をさかのぼってメドレーで見せていくという「Time Wave」~BULLET TRAIN CENTER Medley~「need you」の流れだったと思います。LEDパネルを使って、メンバーのみなさんと映像のダンスを組み合わせた見せ方も面白くて。
ユーキ「Time Wave」は“時代”にかけた選曲ですけど、メドレーの「ikki!!!!!i!!」(2014年)からどんどん記憶を過去へとさかのぼっていって原点であるデビュー曲の「TRAIN」(2012年)にたどりついて、最新の「need you」で現実に戻る、みたいなストーリーを考えてました。
カイ:動くLEDパネルと僕らのダンスを融合させた新しい演出だったんですけど、映像の僕らが踊ってる間に早替えとかもあったので。あのLEDパネルは裏で人力で頑張って動かしてもらってまして、僕たちと同じくらいスタッフの方々も大変だったと思います。
ーーメドレー1曲目の「ikki!!!!!i!!」は、冒頭のユースケさんの「よーっ、ハッ!」の掛け声で会場の空気が一瞬で変わったの、よく覚えてます。
ユースケ:懐かしいですもんね。これを覚えてる8号車さんが割合的にどのくらいいたのかわからなかったですけど、リリースした頃の僕らを思い出してくれたのなら、それもまた時代を感じる演出ということだと思います。この曲では久々に扇子を使ったんですけど、そのあとの「Bloody Night」(2013年)でのマントだったりの小道具を使ったダンスも懐かしくてよかったですね。
ーーリリース時と比べてすっかり大人になったみなさんがセクシーに魅せるリョウガさんのセンター曲「Bloody Night」では、8号車の悲鳴が凄くて。
リョウガ :(照笑)。かっこよく階段から下りてくる演出があったんですけど、マントは踏むと転びやすいのもありますし、階段前にいるメンバーは踊れる面積がめちゃくちゃ狭いんですよ。一歩間違うと誰かケガしかねないから、実はみんなめちゃめちゃ慎重に踊ってましたね。
ーーカイさんのセンター曲「POLICEMEN」(2013年)では、初期の名物コール「カイくんかっこいいよー!」もしっかり拾われてましたね。
カイ:昔「あれ、なんて言ってるのかな?」ってメンバーの間で話題になったことがあって、そういう懐かしさも含めて、このメドレーはうれしかったですよね。警棒風のライトを使ったパフォーマンスは元々やっていたものですけど、このツアー用に振りを足したものなので新鮮でもあり。この曲はわりと久々感もあるんですけど、前にいつやったか……タカシ覚えてる?
タカシ:『Trans NIPPON Express』ツアー(2017年)後半戦のメドレーの、演劇みたいな演出のコーナーでやってますね。でも今となってはわりとレアな選曲です。
ーータクヤさんセンター曲の「Shake body」(2012年)はライブの定番曲だった時代が長くて、よく知られている曲かと思います。
タクヤ:あの曲では1人1人が筋トレしてるアニメをスクリーンで流したんですけど、その絵も個性爆発! って感じで面白かったですね。かっこいい映像一辺倒じゃなくて、ギャップで魅せる感じが印象に残ってます。
ーーユーキさんセンター曲「TRAIN」は約3年ぶりのパフォーマンスということで、踊ってみていかがでした?
ユーキ:久々ですけど、やっぱり振りはもちろん、いろんな記憶がしみついてるもんだなって。リハで昔の映像を見てみたら1曲でもう汗だくだったりして、みんな必死で。その時代の気持ち、初心に帰ることも大事だなと改めて思いましたし、超特急の原点を感じながら踊っていました。
ーーそこから「TRAIN」の小道具だったバラを使いつつ、ソリッドな現在の超特急のパフォーマンスを体現する「need you」への畳みかけ方が、本当に見事でしたよね。このブロックで最近乗車された方は映像でしか見たことのない初期の超特急を、古参の方は超特急の進化を体感できたわけですし。
ユーキ:どの8号車から見ても楽しめるようなゾーンにしたかったというのはありますね。新しい8号車にとって“幻の曲”みたいな扱いの楽曲はなくしたいですし、古参の8号車にとっても心が動かされるようなものにできたらと思ってました。