1stシングル『1%』インタビュー
ウォルピスカーターが語る、ボーカリストとしての美学「毎回音源が100パーセントだと思ってる」
「自分で曲は絶対に作らない(笑)」
ーーもう1曲の「僕らのミッシングリンク」はウォルピスさんが作詞、神谷志龍さんが作曲されています。神谷さんは2ndアルバム収録のオリジナル曲「20億走」を書き下ろされた万玄斎さんと同一人物なんですよね。
ウォルピスカーター:そうです。僕と神谷志龍はインターネットを始めてからの友達のなかでいちばん古い付き合いなんですけど、その当時のコミュニティーで僕たちだけが「音楽で食べていく」と言っていて、結果、僕と神谷志龍だけがこの業界に残ったんです。なので、前から節目の仕事のときは絶対に一緒に曲を作る話をしていて、今回のシングルが決まったときも「カップリングはお前に書いてもらうから」と声をかけました。
ーーウォルピスさんの作詞曲は「20億走」ぶりになりますが、今回はどんなテーマで詞を書こうと思ったのですか?
ウォルピスカーター:「20億走」のときはすごく暗い歌詞になってしまったので、今回は明るい歌詞を書きたいなと思ったんです。ただ、僕は明るい歌詞の書き方がわからなくて(笑)。僕は軽音楽部でバンド活動をしてた高校時代から、暗い感じの歌詞を書いてたんですよ。基本的に“人の一生”みたいなテーマを書くことが多くて、今回も人生や人間についての歌詞なんですけど、言葉尻を変えたりして、書きながらどうにかポジティブな方向に持っていきました。
ーー自分の“存在の不安定さ”という哲学的な問題に踏みこみつつ、最終的には未来を掴もうとする希望的な歌詞になってますね。
ウォルピスカーター:最初は「ミッシングリンク」をテーマに歌詞を書こうと思ったんです。ミッシングリンクというのは、化石が出てこないだとか、進化の証拠が見つからないだとか、歴史的に連続していない空間のことで、要は過去の出来事じゃないですか。それを前向きにするには、とりあえず思ってることとは逆のことを書けばいいんじゃないかと思ったんです。だから一度自分が書いたものを反転させて、過去ではなく未来のことを書いたのがこの曲になります。
ーー初シングルという新しい門出のタイミングにも上手くハマってますね。
ウォルピスカーター:ありがとうございます。でもそこは自分では全く意識してなかったですね。今回書いたことはわりとみんな思ってることだと思うんです。例えば「寝てるときに世界はあるんだろうか?」とか「自分が観測していないとき本当に世界はあるのかな」という、誰もが一度は思う中二病的な発想を、一度文章にしてみたいなと前々から思ってたんです。そしたらめちゃくちゃ前向きになったので予想外でした(笑)。
ーー〈ハロー!全未来!〉なんてフレーズもありますから。
ウォルピスカーター:改めて言われるとくそ恥ずかしいですね(笑)。そこは「字が全然足りない!」と思って一番最後にヤケクソで書いたところなんです。
ーー神谷さんとの約束も果たせて、自分にとっても印象深い楽曲になったのでは?
ウォルピスカーター:もちろんそうです。神谷志龍との曲はひとつひとつ大切にしていきたいと思っていて。「20億走」も二人で作った最初の曲としていいものができたと思ってるので、今回の二作目もいつまでも思い出せる曲になったと思ってます。また何かあれば声をかけたいですけど、でも距離が近いと大変なこともあるんですよ。昨日も急遽「今作ってる曲の仮歌を録ってほしい」と頼まれたので、今日は一日取材なんですけど、断れないので朝からレコーディングしてたんです。
ーーでも、はるまきごはんさんにせよ、いちたさんにせよ、そういった繋がりを大切に作品を制作できているのは、今までの活動があってこそというか。
ウォルピスカーター:僕自身、高校時代には自分で曲を作ってたんですけど、そこで自分には作曲の才能がないと感じたんです。こうしていろんなところでお仕事させてもらえるようになって、よく「自分で曲を作ったら?」と言われることがあるんですけど、僕はその部分は出来る人にお任せすることに決めていて。そういった面でも、僕の出来ない部分を支えてくれる、手の届かない部分を一緒に作業してくれる人が周りにいるのは幸せなことだと思いますね。
ーー歌い手あるいはアーティストとして、今後どのような展望を抱いていますか?
ウォルピスカーター:今でこそライブをやらないことに対して批判的な意見が多いんですけど、これがいつか肯定されるようなキャラクターを作り上げていきたいと思っています。「あいつは生ができないから、音源を聴けばいい」みたいな方向性でやっていきたいですね(笑)。それとは別に、僕はしゃべるのが好きで、今もラジオをやらせていただいてますし、今後は声を使ったお仕事の幅も広げていきたいと思ってます。それこそ演技だとか、僕は宝塚が大好きなのでミュージカルや歌劇といった方向にも進みたいですね。自分で曲は絶対に作らないです(笑)。
ーーとは言いながらも、10月には東京・豊洲PITでワンマンライブを開催されるとのことですが。
ウォルピスカーター:はい(笑)。まだざっくりとしか考えてないんですけど、僕が歌ってる曲は高音ばかりなので、曲数はそんなにたくさん歌えないんですよ。ライブでキーが下がってると聴いてる方も萎える部分があると思うので、なるべくキーを下げないで歌ってるんですが、そうすると僕の場合は1日12〜13曲ぐらいが限界なんです。ただ、その曲数だと1時間ぐらいで終わってしまうので、今までの「株主総会(ウォルピスカーターのライブタイトル)」でも幕間に少し凝ったMCを挿んだりしまして。
ーー歌唱のみならずトークのお仕事経験も活かした、ご自身の表現の場になっているんですね。
ウォルピスカーター:うっかりしゃべりすぎて、ライブなのにMCで声を枯らせたこともありますけど(笑)。ライブは僕のやれることを全部やれる、僕自身の総合エンターテインメントを見せられる場所だと思っているので、楽しみにしていただきたいです。
(取材・文=北野創/写真=はぎひさこ)
■リリース情報
1st Single『1%』
発売中
¥1200+税
<収録内容>
M1.「1%」(作詞/作曲:はるまきごはん) TVアニメ「不機嫌なモノノケ庵 續」エンディングテーマ
M2.「アノヒノアノウタ」(作詞/作曲:いちた)
M3.「僕らのミッシングリンク」(作詞:ウォルピスカーター/作曲:神谷 志龍)
M4.「1% -Instrumental-」(作詞/作曲:はるまきごはん)
<購入者特典およびリリース記念イベント詳細>
『1%』特設サイト
『1%』クロスフェード
「1%」MUSIC VIDEO
■ライブ情報
ウォルピスカーターワンマンLIVE『2019年度 ウォルピス社 “大”株主総会』
会場:豊洲PIT
日程:2019年10月27日(日)
時間:OPEN 16:00 / START 17:00
問:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00)
チケット先行:イープラス最速抽選先行
応募期間:2019年3月23日(土)19:00〜4月1日(月)23:59