フレデリックの国の音楽に酔いしれるーーダブル記念日の忘れられない夜となったライブを見て
そんな三原兄弟のバースデーに際して、普段なら言わないであろう熱い思いをぶつけた高橋武(Dr)。「ふたりが29歳になって最初のライブだから、最高のものにしたい。普段からふたりがいい曲を書いてくれたり、いい歌を歌ってくれたりするおかげで、俺のドラムがあると思っている。本当にありがとう」。それを聞いた健司は「本当にメンバーに恵まれている。後半戦もみんなが楽しんでくれたら、俺ももっとうれしいし、もっと頑張る、そういう相乗効果がフレデリズムを作っていくんだと思う」と、実に照れくさそうな表情で応えていた。
盛り上がりの最高潮を極めた「オドループ」。健司が「まだまだ遊べますよね? 踊ってない夜は気に入らないですか?」と、歌詞になぞらえて観客をはやし立てると、会場は一体となってクラップとサビの大合唱でそれに応える。その様子に「最高やないか。いいこと言うから、我慢しとったのに……」と涙を隠すように後ろを向いた健司。「みんなのそういうところがキライです。でも、キライになれないです」。本編最後に披露した「スキライズム」は、トリッキーなイントロのフレーズが印象的。ユーモアのあるダンスロックに、観客は一緒に歌を口ずさみながら手を前後に揺らして踊り続けた。
アンコールでは「逃避行」と「飄々とエモーション」を繰り出す。「いろんなジャンルがあるなかでフレデリックを選んで、歌って踊ってくれてうれしい。みんなの想像を超えていこうと思っていたツアーだったけど、みんなからもらうばかりの最高のツアーを回っています。これからも飄々とかっこよくやっていく俺たちを見ていてください」と健司。「ダダッダッダダッ」とキメで始まるイントロ。ファルセトを交えたセクシーなボーカルが、実にソウルフルな「飄々とエモーション」。「ウォーウォーウォーウォー」という観客の大合唱が会場に広がると、それに健司がロングトーンで返す。コール&レスポンスもこの日ばかりは、「おめでとう」と「ありがとう」の応酬といった雰囲気だ。温かいファンと仲間との絆、そして感謝の気持ちの大きさを象徴するかのように、よりいっそう気持ちの高まったロングトーンが、いつも以上の長さとエモーショナルさで会場に響き渡った。
(写真=ハタサトシ)
■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。
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