駒形友梨が持つ歌声の強さと変幻自在さ “これまでの集大成”提示した初のソロライブを見て

 バラード曲の時にも思ったが、駒形の声は音の隙間があればあるほど効果的に響く。その魅力を最大限に届けるアコースティックセットは、駒形の歌にピッタリの表現方法だと感じた。本人もMCで「生演奏、楽しい!」と言っていたが、個人的にも彼女の楽曲は生演奏でよりポテンシャルが発揮されると思うので、その機会を楽しみに待ちたい。

 「明るく楽しい曲もございますので」という言葉とともに始まった後半パートは、フュージョン歌謡の「It’s HEAVEN」、軽快なシャッフルビートとベルの音が冬にぴったりの「Talk 2 Night」、『〔CORE〕』のリード曲「クロックワイズ」と展開。色っぽい「It’s HEAVEN」も愛らしい「Talk 2 Night」も良かったのだが、やはり圧巻だったのは「クロックワイズ」。Aメロ頭、切なげに歌う〈雨の観覧車に乗り〉で観客をグッと引き込み、「フルートを入れた曲を作りたい」というプロデューサーの意見も取り入れたサウンドが緩やかにスウィングするサビへと向かう。まさに駒形の持つ声の強みを引き出す“隙間のある”楽曲だ。本人も楽しそうに歌いながら、サビ終わりの〈祈ってあげるわ〉ではイタズラっぽく笑ってみせた。

 「10曲しか持ち歌がないので……」と次の曲である「時の葉」が本編最後になることを告げ、初めて作詞した同曲について「私は自分の思っていることをなかなか伝えなかったり文字にして書かなかったりするんですが、作詞という素晴らしい機会をいただいたので、思っていたこと、忘れたくないことを一生懸命書かせていただきました」と語り、同曲を歌唱。この日のライブを通してずっと気になっていたのだが、駒形は左手の使い方が非常に細かい。これは正確に音程を取っているということ。『THEカラオケ☆バトル』(テレビ東京系)にも出演するなど、歌唱テクニックに定評のある彼女のレベルの高さを改めて思い知らされる所作の一つだ。それは自身の思いを込めたバラード「時の葉」で一層表現されていたように見えたし、この曲では歌詞を書いた時の情景を思い浮かべてか、時折目を瞑りながら歌っていたことも印象的だった。

 アンコールになると、この日の流れからはおよそ正反対なラウドロック楽曲が流れ始め、ゲーム『WAR OF BRAINS』より、駒形が歌唱で、SHO(MY FIRST STORY)とウエノルカ(眩暈SIREN)とコラボした「identity my ultimatum」を披露。ここまで音数の多いロックナンバーでも、彼女の声はしっかりと響くことを改めて証明してみせると、続いては駒形友梨の名を世に知らしめた一曲でもある「SHINE!! キラキラ☆プリキュアアラモード」をキュートに、同じく『キラキラ☆プリキュアアラモード』から凛とした格好良さが目立つ「Lu La La☆Lumiere」を歌い上げた。持ち曲が10曲しかない今の彼女だからこそ歌える“これまでの集大成”を提示するというのも、1stライブならではの演出だ。

 その後のMCでは、夏に次回リリースがあることを発表。続けて、この日の舞台に立てたことについて「自分のことが好きになれない時間も多かったけど、歌ってる時だけは幸せで自分のことが好きでいられました。そんな大事なものをみなさんに良いって言っていただけて、こんなステージで歌うことができて、生まれてきて良かったと思います」と語り、最後に「トマレのススメ」をパフォーマンス。駒形は疾走感のある楽曲にあわせ、隅々までステージを駆け回りながら、残りのエネルギーをすべて発散するがごとく全力で歌ってみせ、1stライブを終了した。

 リリースも決まり、夏以降もまだまだ止まらず進み続ける駒形のアーティスト活動。これだけの実力を持つのだから、次回はもっと大きな会場で多くの人に歌声を届ける様子を見てみたい。そう感じさせるに十分な1stライブだった。

(取材・文=中村拓海)

■セットリスト
『Komagata Yuri 1st Live ~starting in the 〔CORE〕~<Night>』
1.starting in the haze
2.メイズ
3.Lonely Blueが終わる頃には
4.ソノヒ
5.トマレのススメ(アコースティックセット)
6.はじめからきっと(アコースティックセット)
7.It’s HEAVEN
8.Talk 2 Night
9.クロックワイズ
10.時の葉
en1.identity my ultimatum
en2.SHINE! キラキラ☆プリキュアアラモード
en3.Lu La La☆Lumiere
en4.トマレのススメ

■関連リンク
駒形友梨 レーベルサイト
駒形友梨 オフィシャルTwitter

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