あいみょん、CHAI、吉田凜音……明確な意志を備えた女性シンガーの新作

分島花音『DECADE』

 クラシックをルーツに持ち、チェリストからシンガーソングライターに転身。ロック、クラシック、ポップスなどを融合させた楽曲、ゴシックかつキュートなビジュアルと衣装、“チェロを演奏し、歌う”という独特のステージングによって、アメリカ、ヨーロッパを 中心に海外でも高い人気を得ている分島花音。デビュー10周年のタイミングで制作された初のベスト盤『DECADE』には、確かな音楽技術と独自の美意識に貫かれた彼女の音楽世界が色濃く反映されている。新曲「fragment ornament」はドラマティックなメロディライン、クラシカルにしてエッジーなバンドサウンド、生々しい感情とファンタジックな要素が混ざり合う歌詞など、彼女の独創的なスタイルがさらに進化していることを告げるナンバーだ。

吉田凜音『#film』(通常盤)

 「りんねラップ」のMVで話題を集め、音楽、モデル、女優として同世代の女性を中心に支持を広げている2000年生まれのアーティスト、吉田凜音のニューシングル表題曲「#film」は、彼女自身が初めて作詞・作曲した楽曲。10代女子の日常と未来に対する思いを描きながら、〈過ごした思い出は/これから先いつだって現像し続けるよ〉というフレーズによって“儚い永遠性”と呼ぶべき感情につなげるリリック、そして、決して感情を大げさに押し付けることなく、楽曲に込めたメッセージを自然に伝えるフロウは、彼女のシンガーソングライターとしてのセンスを証明している。アパレルブランド・#FR2と写ルンですとのコラボレーションによる“レンズ付フィルムカメラ盤”が販売されるなど、リリースの方法も個性的だ。

吉田凜音 - #film / RINNE YOSHIDA - #film [Short Video]

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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