『ゴロウ・デラックス』今春終了に存続希望する多くの声 稲垣吾郎が作る“唯一無二“の空間

 稲垣吾郎がMCを務めるブックバラエティ『ゴロウ・デラックス』(TBS系)が、今春で終了する、というニュースが駆け巡った。それと同時に、これまでゲストとして出演した作家陣、そして毎週楽しみにしてきた視聴者から多くの惜しむ声と、存続希望の声が上がっている。

稲垣吾郎「SUZUNARI」

 普段なかなか知ることのできない作家のプライベートな一面や、執筆風景を届けてくれる『ゴロウ・デラックス』。稲垣の常に相手をリスペクトする真摯な姿勢によって、作家の心のドアを静かにノックしていくスタンスが見ていて心地いい。決してズカズカと入り込むようなことはせず、「おじゃまします」と靴を揃えて入っていくような奥ゆかしさが、作家たちの緊張と警戒心を解いていくように見えた。

 ときには、クスッとしてしまうような個人的な話も飛び出す。それでも稲垣から漂う上品な空気感のおかげで、私生活を“暴く”のではなく“聞かせてもらう”という紳士的な空気は崩れない。もしかしたら中世の貴族たちが、教養人を招いて知的な会話を楽しんだサロンは、こんな雰囲気だったのではないか? そんな気分にもさせてくれる。

 以前、ゲストで出演した永六輔も「こんなに楽しくなるとは思わなかった」という言葉を残していた。「弱いもの、数少ないものを大事にする姿勢で、下町の本屋さんと同じように、番組を大事にしてください」とも。その言葉に対して、稲垣も「長く続けていきたいんです」と答えていたのが印象的だった。

 忙しい日々の中で、本を手にじっくりと話し合う貴重さ。そこから見えてくる人間の面白さ。一言一句を読み上げてもらう贅沢さ。そして、稲垣の朗読に聞き耳を立てていると、ハッとする。こんなにゆっくりと人の声に耳を傾けるシーンが日頃どれだけ少ないか。私たちは言葉を持つことで、思いや考えを伝えることができるようになったのに、どこかでないがしろにして生きているのではないかと。

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