豊田萌絵が振り返る、2018年のアイドルシーン 「生駒ちゃんは乃木坂の最初期を支えた功労者」

豊田萌絵が振り返る、今年のアイドルシーン

長濱ねるちゃんの写真集は、妄想力がとても膨らみました

ーーでは話を元に戻します。2018年を振り返って、特に印象的だったアイドルイベントは?

豊田:9月5日に幕張メッセで行われた、『欅坂46 全国アリーナツアー2018』の千秋楽ですね。センターの平手友梨奈ちゃんが4曲目の「ガラスを割れ!」でステージから転落しちゃって。曲の最後に平手ちゃんが花道を突っ走って、センターステージまで行くっていう流れだったんですけど。曲はやり切ったんですが、その後に転落したみたいで。私がいたのはメインステージ側だったので、転落した瞬間は見ていなくて、次の曲が始まって、「あれ? てち(平手友梨奈)いない?」って周りがざわざわし始めてから気付きました。でも、そういう演出なのかもしれないじゃないですか? ただ、さすがにずっといないから、「おかしいぞ」ってお客さんもなって。何曲か後のMCでようやくキャプテンの菅井友香ちゃんが「平手が倒れまして、病院に運ばれています」って話したんです。本当に心配しました。心ここにあらず、という状態になっちゃって。でも、メンバーは落ち着いてたんです。なら観客である私たちちがざわざわするのはメンバーに申し訳ないと思い直して。そう思ってからは、集中してライブを観られましたね。ダブルアンコールの「W-KEYAKIZAKAの詩」で平手ちゃんが戻って来た時は号泣しました。

ーー大事に至らなくて良かったですよね。ちなみに写真集もお好きなんですよね。今年一番良かったアイドルの写真集は?

豊田:発売自体は昨年末なのですが、長濱ねるちゃんの写真集『ここから』(講談社)がめちゃくちゃ刺さりました。アイドルの写真集の良さの基準が私の中にはあって、それは“カメラマンさんとのコミュニケーションがどれだけ写真で表現できているか”なんですよ。どんなに被写体が良くても、カメラマンさんとの相性によって、見る側に何を訴えかけているのかわからない作品になってしまうことが少なくないような気がします。でもねるちゃんの写真集は“カメラの向こうにどんな視線があるか”を想像させるくらいの訴えかける力がある写真しかなくて、強いなって思いました。彼女感とか同級生感とか、妄想力がとても膨らむ写真集でした。こんなこと言うのは気持ち悪いと思うんですけど(笑)。変にオシャレにしようとか、意識高い系の写真じゃなくて、等身大の魅力が出ていたので、好きですね。

2019年の注目はIZ*ONEとひらがなけやき

ーーでは来年に目を向けまして、2019年にヒットを予感させるアイドルを教えてください。

豊田:大ヒットはIZ*ONEで間違いないと思います。すでに今年の下半期からヒットし始めてますよね。日韓合同の制作で、秋元康さんもプロデュースに関わってるんですが、基本的には韓国で活動していて。日本人のメンバーは3人いて、日本以外の土地で仕事をするって大変だと思うんですよ。そんな中で努力して、咲良ちゃん(宮脇咲良)は向こうで注目度NO.1くらいにまでなってるから。その頑張りの時点で、すでにもう誰しもが認めるべき存在じゃないかと思うんです。推さずにはいられないですよね。曲も良いし、振り付けもキャッチーだし。個人的にも曲を覚えて、振りコピもしています。今って第3次K-POPブームじゃないですか? その流れでのデビューだから、若い世代にハマると思います。アイドルって子供にハマると世間的にも流行るものだと思うので。DA PUMPさんもかつてのモー娘。さんもそうやって社会現象になっていった印象です。子供にウケるかどうかは大事だと思います。

ーー他にはどうですか?

豊田:推したいのはひらがなけやきちゃん(けやき坂46)です。今は乃木坂、欅坂が人気があって、ひらがなけやきちゃんもアイドルファンの間では盛り上がっているんですが、世間的にはまだまだだと思うんです。欅坂の妹グループ、アンダーグループって思われがちなんですけど、全く違うものなんですよ。別物として見ていただきたいなって。ひらがなけやきちゃんの魅力って、素直さや等身大の同級生感とかのハッピーオーラだと思うんですよ。ちゃんと正統派として愛されるグループになるんじゃないかなと思います。

ーー売れるために、活動して行くために、今のアイドルに求められる資質って何だと思いますか?

豊田:“悟らないこと”だと思いますね。ネット社会になって、いろんな人の声が聞こえるじゃないですか? だからメンタルが大事になってくると思うんですよね。“いかにして負けないか”、“好きの先に何を見つけられるか”だと思います。アイドルに限らないですけど。「好きでアイドルになりました」だけではやっていけない。好きになった先に、ちゃんと自分のやりがいや目標とかを見つけられないと、どんどん根腐れしちゃうと思うので。「もういいや、こういう社会だから諦めよう」って悟っちゃうと、アイドルは死んでしまうと思います。

ーー豊田さんはメンタルは強い方ですか?

豊田:基本は弱いです。ビビリなので。だからアイドルちゃんの気持ちもわかる面がある。私は自分の中で解決しますね。悟ってはいないし、死んでもいないです。「こうなってしまったのはこれとこれが原因で、これとこれをするためにはこうして……」といった感じで、自分に言い訳をしています。そうやっていろいろ考えて、すっきりしたら寝ます。自分の心のバランスを取ることが必要だと思いますね。

ーーアイドル然としたアイドルが基本的にはお好きと言っていましたが、今はむしろメンタルの弱さをそのまま出すアイドルの方が多いかもしれないですね。特にインディーズだと。

豊田:そうかもしれないですね。自分と同じなんだーって、共感もしやすいですしね。

オタクだからこそ、ライブ中にレスが来た時の嬉しさがわかる

ーーでは最後に。アイドルの活動を追っていることで、Pyxisや自身の声優活動に還元されることはありますか?

豊田:それはめちゃめちゃあります。ライブの演出やセットリストの組み方、衣装の決め方とかは、アイドルちゃんを参考にしています。たとえばライブを観ていて、ここはMCなしで曲を繋げて欲しかったなとか、こういう照明でやるなら、前の衣装の方が良かったなとかって、あるんですよ。か。そういうことを実際に観て学んで、自分の活動に活かしていてます。

ーーライブ以外はありますか?

豊田:うーん、でもやっぱりライブですね。あとはライブ中のレスとか。自分がオタクだからこそ、レスが来た時の嬉しさがわかるので。誰よりもその気持ちがわかるからこそ、「ちゃんとお客さんにレスしよう」って思います。

(取材・文=岡島紳士)

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