JUJU、ジャズへの愛に満ちたプレミアムライブ 久保田利伸も登場した一夜をレポート
ファンキーな一陣の風が吹き抜けたあと、この日の8曲目「I Didn’t Know What Time It Was」は不世出のソングライターコンビ、ロジャース&ハートによる端正なジャズスタンダード。成熟した大人にしかわからない、歌うことのできない、切なすぎる歌詞を情感込めて歌いあげるJUJU。シンプルな4ビートに徹した演奏が歌をそっと支える、だからこそ言葉が胸に沁み入る。
「私の人生はジャズに支えられて、これからもたくさんのことを教えてもらうと思います。嫌なことがあった時も、ウキウキする時も、私はジャズを聴く。そしていつか人生に終わりが来る時に、すべてが良い時間だったと思えたらいいなと思います」
ラストチューンはアルバム『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』のオープニングを飾る、スウィング感満点のジャズスタンダードのようで実はJUJUのオリジナル曲「Remember(The Good Times)」。つらいことがあっても、泣きそうになっても、良き時と良き歌を思い出して。ミラーボールが回るハッピーな空間の中で、それはJUJUからジャズへの恩返しのような、真心込めたメッセージだ。
2019年、JUJUはいよいよデビュー15周年を迎える。『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』のリリース記念ライブとして、3月から4月にかけてブルーノート東京で5日間10セットの公演も決まった。「15年間、ここまで連れてきてくださったみなさん。本当にありがとう」と語り、アンコール曲「メトロ」を歌うJUJUは、アリーナを埋めるビッグスターとしてではなく、真にジャズを、音楽を愛する一シンガーとしてそこにいた。原点回帰と新たなモチベーションを胸にアニバーサリーイヤーを進む、2019年のJUJUが本当に楽しみだ。
(文=宮本英夫/写真=塚田亮平)