わーすた、“イロモノ”にならない卓越した歌唱力と表現力ーー冬将軍が音楽的魅力を熱弁
対照的に今どきなスタイリッシュさを持ち込んだのは、SHIROSE(WHITE JAM)だ。
工藤大輝(Da-iCE)との共作である「タピオカミルクティー」は、シティポップテイストのアレンジに大人びたボーカルが映える曲。アタック強めの言葉のアクセントを用らず、柔らかい言葉選びの字余り気味の詞ながらもスラッと聴かせる耳馴染みの良さは、彼女たちの持つリズム感によるものだろう。スペインの人気兄弟デュオAdexe & Nau(アデクセ・アンド・ナウ)とのコラボ曲「Yo Quiero Vivir(ヨ・キエロ・ビビール)」も、どこか日本人離れしたリズム感の鋭さが滲み出ている楽曲だ。
リスナーがライブにおけるシンガーを称える言葉に「喉から音源」という表現があるが、わーすたのライブには音源以上のものがあるように思う。いうなれば、予定調和を嫌うミュージシャンたちが延々と繰り広げるジャムセッションのような、そんな心地好いグルーヴを感じるのだ。ステージ上の5人から紡ぎ出されるもの、それを見守る“わーしっぷ”(=ファンの呼称)とともに作り上げるもの、さまざまな要素がそれを生み出していく。歌の上手いアイドルも、パフォーマンス力が高いアイドルも多くいるが、ライブを観て聴いていて、突き抜けるような歌声とその姿に、この上ない心地好さを感じることができるアイドルは、そうはいない。
そして何より彼女たちは、アイドルとして、女の子としての“輝き方、輝かせ方”を解っている。そのため、タピオカミルクティーに焼肉ソング……一歩間違えれば、イロモノになってしまいそうな楽曲や衣装も、この5人だからこその武器となり、唯一無二のエンタテインメントとして打ち立てられるのだ。古いものでも新しいものでも、ちょっとふざけたものでも、抜群のセンスと確かな実力で見事に昇華させていく。その比類なき圧倒的な確信こそ、わーすたのオリジナリティであることは言うまでもないだろう。
「ロックフェスで焼肉衣装のアイドルするの楽しすぎた」とは松田美里がTwitterにて、今年9月に行われた西川貴教主催『イナズマロック フェス 2018』出演後にツイートした言葉だ。こうした何気ない本心の発言に、彼女たちの“強さ”を感じざるを得ない。
#イナズマロックフェス2018 #わーすた 風神ステージ ニコ生 握手会
ありがとうございましたロックフェスで焼肉衣装のアイドルするの楽しすぎた🍚 素敵なイベントに出演させて頂き光栄です。去年は雨で出られなかったけど今年はしっかり晴れて まだまだ夏でした🎐 pic.twitter.com/unuNm78CEo
— わーすたの松田美里🥛🐇 (@tws_miri) September 22, 2018
■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログ/Twitter