中川翔子が語る、出会いや別れで再確認した歌手としてのあり方「“生きた証”として残るものが歌」

中川翔子、歌手としてのあり方

「上手に恋愛できる人って凄い」

ーーカップリングの「Heavy Girl」は、作詞が根本宗子さんで、タイトル通り「重い女」が主人公です。「blue moon」とは全く違う「愛」を歌っていますよね。

中川:実は、この曲も『ゾイドワイルド』のタイアップ候補に上がっていたんです。今までに歌ったことのない感じのメロディだったから、「カップリングに入れてもいいんじゃないか?」って。しかも、せっかく久しぶりのリリースだし、今までとは全然違う歌詞にしてみようと。それで根本さんにお願いしたのですが、内容については特にこちらからリクエストせず、「中川翔子を素材に、自由に書いていただけますか?」と言ったところ、こんな歌詞だったのでビックリしました(笑)。

ーー男に振り回され、ゲームは捨てちゃうしお金も貢ぐ……。実在の中川さんではあり得ないキャラですよね。だからこそ、中川さんに演じて欲しいという根本さんの気持ちもわかります(笑)。

中川:でも若い時って、なんでも好きなものにしか目に入らないから、もしかしたら誰かのこと「好き!」ってなったらメール送りまくっていたかもしれない……。ただ、それで失敗したら流石に学ぶじゃないですか(笑)。今は私も「適度な距離感こそベスト」と学んだつもりなんですけどね。でも、分かんないですよ実際に恋したら。「ゲームやめろ」って言われたら「いや、あなたがどっか行ってよ」って、言えると今は思うんですけど。

ーーですよね?

中川:でも、それを超越するぐらい好きな人に出会えたら、それは人生においてハッピーなことでもあるのかもしれない。

ーーそうですかねえ。

中川:私、上手に恋愛できる人って凄いなって思うんですよ。他人に対してだったら「あんな人やめなよ」とか「そんな時はこうしたら?」って言えますけど、自分が恋の真っ只中だったらどうなるか分からないし、他人からの苦言なんて聞きたくもないってなるかもしれないし。

ーーまあ、確かにそうですね。

中川:そう、だから誰しも思い当たるふしというか、遠からずな話でもあると思うんです。

中川翔子 『Heavy Girl』衝撃MV公開!!根本宗子が描く"重たい女"

ーーMVもメチャクチャ面白かったです。彼氏の不義理を、中川さんがツイキャスみたいにして訴えているオープニング……初めてみた人はビックリしますよね、「何これ流出画像?」って(笑)。

中川:そうそう(笑)。この物語も根本さんが考えてくれたんですけど、メチャメチャ雨に降られてずぶ濡れになったり、ゴミ捨て場に捨てられたり(笑)、頭からコップの水をかけられたり散々な目に遭うんですけど、だんだん「もっとやって!」っていう気持ちになってきて。

ーーあははは!

中川:あと、歌の中でも使われているセリフがあって、これをどういう風に言えば自然な演技になるか考えましたね。30代になって、ドラマや舞台をやっておいて良かったなって思えました。いつか演技が歌にも活かせたらいいな……と思っていたんですけど、それがこれだったのかもしれない(笑)。おっしゃったように、ツイキャスみたいな感じで携帯に向かって「私はまだ好きだし!」みたいに一人語りしているんですけど、その演技がすごく楽しくて(笑)。後で見直したら、「うわ、目がヤバ!」って引きました。

ーーいや、めっちゃリアルですもん(笑)。

中川:今までMVで演技するのは、少し照れがあったんですけど、これはそういうのがなく演じられましたね。

ーーCHiCO with HoneyWorksとの共作「ミスター・ダーリン」のセルフカバーーは、どのように作りましたか? 

中川:チコハニさんの楽曲は本当に、10代の甘酸っぱさ全開の胸キュンソングばかりじゃないですか。もう眩しくて、少女漫画を読んでいるような気持ちになるというか。自分が現世では叶わなかった世界だな……ということで、「癒し」を求めて落ち込んだときに聴いてたんです(笑)。で、去年Twitterでチコハニさんを発見して。「いたー!」と思ってフォローしたら、フォローバックしてもらって。さらに今回、10枚目のシングルで「コラボしませんか?」というオファーまでいただいたんです。チコハニのメンバーのCHiCOさんもshitoさんも、学生の頃に私の曲をよく聴いてくださっていたらしくて。

ーーそうだったんですね。

中川:それで、「どんな曲がいいですか?」って聞いてくださったので、「ライブで盛り上がれる曲だと嬉しいです」とだけお伝えしたら、こんな素敵な大人のラブソングを送ってくださいました。もう、耳がシュガーになるような甘い楽曲! 斬新だったのは、「夫婦ソング」だったこと。チコハニさんにとっては「夫婦ソング」って結構、いつもよりも大人のモードで書いてくださったと思うんです。継続することの大変さ……歌もそうですが、結婚の始まりがラブラブでもそれを維持するのって本当に大変なことで。その秘訣について歌っているのがとっても可愛いし、ライブの掛け合いもきっと盛り上がるだろうし。ChiCOさんとのコラボバージョンはピアノをフィーチャーしたチコハニさんらしいアレンジなんですが、セルフカバーは今回用にリアレンジしてくださって。

 私は今、新曲のリリースイベントとして、日本全国を『ラッキームーンツアー』と銘打って周っているんですけど、ファンの方の中には初めましての方も、久しぶりの方も、ずっと追いかけてくださっている方もいて。なんだか「第三次結婚ブーム」みたいになってるんです。コンサートにきたファン同士でメチャメチャ結婚して、メチャメチャ子どもが生まれてて。人口が増えてるんですよ。

ーー(笑)。しょこたんファミリーが。

中川:「子どもが生まれてなかなか遠征はできないけど、ツアーで来てくれたから子どもと会いに来たよ!」というファンの方がたくさんいるんですね。「翔子がいなかったらこの子もきっと生まれてなかったよ」と言ってもらうのが衝撃的で。もちろん、私のおかげなんかじゃなくて、みんなの行動力の賜物なんですけど。もちろんそう言ってくれるのは本当に嬉しいことですよね。

ーーここで歌われている「結婚観」は、中川さんは共感するところありますか?

中川:私、家系が母もそうだし祖母も、女が強くて働いていて、男子たちが早々にいなくなっちゃうんですよ(笑)。いないのが普通の景色だったから、子どもさえいれば別居婚でもいいかもくらいに思っていたんですけど、この歌を聴くと「そりゃ結婚、たまらないよね!」と思いました(笑)。きっと「Heavy Girl」のような体験をした女の子が、最終的に「ミスター・ダーリン」みたいな男の子と出会えて良かったね、みたいな。

ーーですね(笑)。で、「blue moon」で歌われている「愛の境地」にたどり着いたら最高ですよね。

中川:そうそう! 最初は「blue moon」と「Heavy Girl」の2曲の予定が、「ミスター・ダーリン」も入れられて、3曲それぞれ全然違う「愛のカタチ」を描けてる。3年半ぶりに相応しい、すっごくボリューミーな1枚になりましたね。壮大な大河ドラマのようなシングル(笑)。

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