SHINee テミン、ソロ活動で示す“大人”への成長 アルバム『TAEMIN』を機に振り返る
現在、日本でのソロツアー『TAEMIN Japan 1st TOUR ~SIRIUS~』を行なっているSHINeeのテミン。長かったツアーも残すところ、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザの3公演を残すのみとなった。このツアーを見に行ったファンからは、「テミンのファン以外にも見て欲しい!」という声が上がるほど、評判の高いものとなっている。そして誰もが言うのが、“テミンらしいコンサート”だということだ。
そして、いよいよ11月28日には日本での初のフルアルバム『TAEMIN』をリリースする。そこで今回は、テミンのソロ活動について改めて振り返ってみたいと思う。
ソロを通して大人になって行くテミンの姿
15歳でSHINeeのメンバーとしてデビューしたテミン。この頃から彼を知っている人たちは“SHINeeの末っ子”というのが彼の印象だろう。実際のところ、彼はSHINeeのお兄さん達に常に可愛がられて育ってきた。
それはデビュー10年が経った今も変わらずで、他の年上のメンバー達はいつまでも彼を可愛がっている。そして、テミン自身もそんな自分の立ち位置を楽しんでいるように思える。SHINeeでのテミンは、常に“末っ子”のような存在なのだ。
彼がソロデビューをしたのは、SHINeeとしてデビューしてから6年後、2014年のこと。ダンサーとしてのテミンの才能はたしかなもので、K-POPアイドルの中でもかなりレベルが高く評価は高かったが、歌に関してはまだ発展途上のような部分があり、一部ファンからは不安の声もあった。
そんな中で発表されたソロとしてのデビューミニアルバム『ACE』は、今までのテミンの少年的なイメージを一気に覆してきた。リード曲である「Danger」では、目の周りを黒いアイシャドウで強調したゴシックメイクに、プラチナブロンド、そこには妖艶で色気をまとったテミンがいた。そして何より、表現力の高い歌に驚いた。「あの可愛かったテミンが……!」と多くの人は思っただろう。
それから彼はコンスタントに韓国でソロ活動を行い、2016年には自身の初フルアルバム『Press It』、2017年には2枚目のフルアルバム『MOVE』をリリースした。その度に“SHINeeの末っ子”とは違うテミンの姿を見せてきた。
新たな世界を広げた「さよならひとり」での日本デビュー
そして、2016年には日本でもシングル『さよならひとり』で、ソロデビューを果たし、同時に日本武道館でのテミンにとって初めてのソロライブを成功させた。 この「さよならひとり」のMVを筆者が最初に見た時、「テミンがやりたいことはこれだったのか」と妙に腑に落ちたことを覚えている。CGを多用し、テミン自身もCGかと見まごうような美しい映像と、アジアンテイストを感じるサウンドとダンス。テミンの表現したいことがこの曲で固まってきたように思えるのだ。
テミンはこの曲を韓国語に歌詞を直し「Goodbye」というタイトルで韓国でも音源リリースをした。韓国の楽曲が日本語で歌い直されてリリースされることは多いが、日本語曲が韓国語に歌い直されてリリースされることは稀なことだ。「Goodbye」は韓国の音楽番組やコンサートでも披露されており、テミンがこの曲を大切にしていることをうかがわせる。現在では日本のみならず、韓国のファンの間でも「さよひと」と呼ばれ愛されているテミンの代表曲的な存在になっている。
「さよならひとり」は音楽面だけでなく、ダンスの面でも彼のソロのスタイルに大きな影響を与えたように思う。この曲のダンスの振り付けは、日本人ダンサー・菅原小春が担当した。“踊る”というよりも“舞う”ように繰り広げられるこのダンスは、テミンのダンスの世界観をさらに広げていった。
この出会いから、その後に韓国でリリースされた「MOVE」でも菅原小春とコラボレーションをすることになる。中性的な振り付けが印象的な「MOVE」は、少年と大人の間のような不思議な魅力を持ったテミンにはぴったりだった。独特なダンスは韓国の芸能界でも話題になり、真似をする芸能人もいた。この世界観は、テミンでなくては作り上げられなかっただろう。