森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.124
ドリカム、BUMP、あいみょん、絢香、SHE’S……映画/ドラマ主題歌から生まれた新たな表現
約3年半ぶりのオリジナルアルバム『30 y/o』は、30代になった絢香が“時間”“変化”をコンセプトに制作した作品。三浦大知とのセッションによる「ハートアップ」、KREVAとのコラボ曲「Glory」などを収めた本作は、彼女自身の外に向かおうとする意志とそのなかで得た新たな刺激が、サウンド、リリックの両面に強く反映されたアルバムに仕上がっている。なかでも印象的なのは、東野圭吾原作・堤幸彦監督・篠原涼子主演による映画『人魚の眠る家』の主題歌「あいことば」。壮大なスケール感を放つメロディライン、“何があってもあなたを愛し続ける”という強い愛情を響かせる歌詞を軸にしたこのバラードは、絢香の新たな代表曲として浸透しそうだ。塩谷哲によるクラシカルな雰囲気のアレンジも、楽曲の世界観を引き立てている。
絢香 / 「あいことば」Music Video
SHE'Sの2018年2作目となるシングル表題曲「The Everglow」は、ドラマ『ルームロンダリング』(TBS系)オープニングテーマ。前作『歓びの陽』に続き、YUKI、Aimerなどの楽曲を手がけてきた百田留衣(agehasprings)のプロデュースによるこの曲は、エレクトロサウンドを押し出した前作から一転、感情豊かなピアノ、クラシカルなストリングス、ドラマチックなメロディを軸にしたSHE'Sの真骨頂と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。「The Everglow」(=永遠の輝き)をテーマにした、ノスタルジーと未来への希望がひとつになった歌詞もきわめて魅力的。ピアノエモ、UKギターロックをルーツに持つ彼らの良さがバランスよく詰まった勝負曲だと思う。
SHE'S - The Everglow
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。