『Raw Scaramanga』インタビュー
世武裕子が語る、映画への思い入れと音楽活動の源泉「この感覚を記録したいという気持ちがある」
音に対する意識はどんどんストイックに
ーーところで、「Vega」は女性宇宙飛行士のモノローグがテーマだとか。
世武:この曲は、映像作家の笹本(正喜)くんに歌詞を書いてもらいたくて聴かせたら、「(スタンリー・)キューブリックの映画みたいで最高だね」という感想が返ってきて。「でも、世武ちゃんが歌うなら、世武ちゃんの性格を反映させた歌詞にしたい」と、すごくコンセプチュアルに考えてくれる人なんですね。で、今までの歌や映画って、女の人が「待っている」ものが多いじゃないですか。でも、この曲は自ら宇宙へ行き、男は地球で待っている、強くて自立した女性が主人公の歌詞にしたいねって話から始まりました。イメージを固める上では、キューブリックが監督を務めた『2001年宇宙の旅』だけじゃなく『インターステラー』の話も出てきて、それでだんだんカタチになっていった感じです。
ーーそういうテーマを選んだのは、ここ最近の「#MeToo運動」やLGBTについてのトピックなども影響している?
世武:ミュージシャンとしてではなく、一人の人間としてはそういう問題にもちろん関心はあるんですけど、だからといって直接的に楽曲へ落とし込みたくはないし、そういう曲を書くつもりも今はないです。私の作る総合的な世界観で、「やっぱり自立した強い女の人ってかっこいいな」と思ってもらえたら嬉しい。「自立しなさい、強くなりなさい」って聞かされるよりも心に届く可能性が高いですよね。いずれにせよ、そういうことは常日頃考えているので、作品にも薄っすら影響してきているのはあると思いますね。あと、SFをモチーフにした一つの理由に、現代社会ってある意味もうSFだと思っているんですよ、いろいろヤバ過ぎて(笑)。SFの設定を「絵空事」だと笑えないというか。
ーー今作は、音のクオリティがめちゃめちゃ高いことにも驚きました。
世武:ですよね?(笑)。小森さんは素晴らしい、信用できるエンジニアです。映画『リバーズ・エッジ』のサントラの時に、プロデューサーから「若いエンジニアと一緒にやってみない?」と言われて紹介してもらったんですけど、話してみたら「ピアノの音をどうやって録るか?」にものすごくこだわっている人で。私はそれまでずっと、ピアノの音が上手く録れないことがずっと悩みの種だったんです。それでどんどんシンセ寄りの楽曲になっていったところもあるくらい。
ーーそうだったんですね。
世武:だから、「きっとこの人は私の味方になってくれるはずだ」と確信して、そこから出来る限り小森さんと一緒にやるようになりました。あと、何度もご一緒しているSoiの浦本(雅史)さんは、お兄ちゃんみたいな人。人柄もいいし、ずっと頼っている存在です。例えば「スカート」のピアノは小森さんがいいけど、「Bradford」のピアノは浦本さんだなと思ってお願いしました。
ーーそれぞれのピアノの音を、聴き比べてみるのも楽しそうですね。本作を作り終えて、今の心境というか、手応えはどんなふうに感じていますか?
世武:完成した今、ライブがやりたいですね。制作にばかり追われ、全然自分のライブが出来てなかったので。もちろん、映画音楽は生涯やりたい仕事だし最高の環境ですが、やっぱり人前で演奏したいし、ステージでこそ力を発揮できるタイプの人間だと思っているので。最近アルバムの曲をいくつかライブで披露してみたら、すごく評判が良かったし、早く多くの人にお披露目したいです。あと最近、ライブにPAさんを導入したら劇的にライブクオリティが変わって。それも、音に妥協しない小森さんと仕事をするようになったのが大きく影響しています。自分の、音に対する意識はどんどんストイックになってきていますね。
(取材・文=黒田隆憲)
■リリース情報
『Raw Scaramanga』
発売日:10月24日(水)
¥3,000+税
<収録楽曲(全10曲)>
1 Vega(Words by Masaki Sasamoto/Music by Hiroko Sebu)
2 Do One Thing Everyday That Scares You(Music by Hiroko Sebu)
3 Gardien(Words by NorikoTezuka/Music by Hiroko Sebu)
4 Secrets(Words & Music by Hiroko Sebu)
5 スカート(Words by Hiroko Sebu & Kite Okachimachi/Music by Hiroko Sebu)
6 Bradford(Words & Music by Hiroko Sebu)
7 John Doe(feat.Chris Dave)(Words by Masaki Sasamoto/Music by Hiroko Sebu)
8 Movie Palace(Words by NorikoTezuka/Music by Hiroko Sebu)
9 1/5000(Words by Kite Okachimachi & Hiroko Sebu/Music by Hiroko Sebu)
10 The Death of Indifference(Words & Music by Hiroko Sebu)
■イベント情報
世武裕子『Raw Scaramanga』showcase 1
11月6日(火)神楽音(東京)※Sold Out
世武裕子『Raw Scaramanga』showcase 2
12月12日(水)神楽音(東京)
時間(両日)OPEN20:00/START21:00
世武裕子『Raw Scaramanga』in Tokyo
1月14日(月・祝)WALL & WALL(東京)
OPEN18:30/START19:00
料金:スタンディング前売¥3,000(+1D)/当日¥3,500(+1D)
※ドリンク代別
※前売来場者には会場限定特典プレゼントあり
<各プレイガイド先行(WEB抽選)>+会場・ イープラス受付あり
チケットぴあ
受付期間:10月27日(土)10:00~11月4日(日)23:59
受付はこちら
ローソンチケット
受付期間:10月27日(土)12:00~11月4日(日)23:59
受付はこちら
チケット一般発売:11月10日(土)10:00~
※先着受付(予定枚数に達し次第受付終了)
世武裕子『Raw Scaramanga』in Kyoto
2月22日(金)京都CLUB METRO
OPEN19:00/START19:30
当日¥3,500 ドリンク代別途
前売¥3,000 ドリンク代別途
※早割/前売来場者には会場限定特典プレゼント
チケット一般発売:11月10日(土)10:00~
<期間限定特別先行早割チケット>
早割:¥2,500 ドリンク代別途
受付期間:10月24日(水)〜11月7日(水)
枚数限定
※早割申込方法
件名を「2/22 世武裕子 早割希望」、名前と枚数を明記して「ticket@metro.ne.jp」宛へメール
■関連リンク
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