04 Limited Sazabys、メロコアの歴史と同時代を繋ぐ存在に シーンの“楔”を担った独自性を考察
Hi-STANDARD「STAY GOLD」で胸を鷲掴みにされ、その数年後にELLEGARDEN「ジターバグ」で再び心を揺さぶられる。 シンプルでラウドなサウンドと誰でも口ずさめるキャッチーなメロディを前にしてこんな気持ちになった人が、90年代後半からゼロ年代前半を“キッズ”として過ごした層の中には一定数存在するのではないかと思う。そして、何を隠そう筆者もその1人である。
2018年10月時点でこの2つのバンドが並び立つ状態が実現しているが、いわゆるメロディックパンクが広く市民権を獲得するポジションに押し上げられる過程において彼らの果たした功績は計り知れない。
数年前に04 Limited Sazabys「Terminal」を聴いた時に感じたのは、前述した2つのバンドの楽曲に触れた時と同様の衝撃だった。実際に彼らはこれらのバンドの影響を大きく受けていることを明言している。そういった背景も含めて、“日本のメインストリームで鳴らされるメロディックパンク”という文脈の正当な後継者はこの人たちなのではないか? という大きな期待を抱いた。
“日本のメインストリームで鳴らされるメロディックパンク”という字面だけを見れば、現在この位置を占めているのはWANIMAだとするのがフェアな評価かもしれない。一方で、04 Limited Sazabys(フォーリミ)はいわゆるメロコアの範疇にとらわれない音楽を鳴らしながら、独自のポジションを築いてきた。
たとえば、“4つ打ち”的なアプローチの導入も含めた昨今の“邦ロック”的な世界への接近。特に前作『eureka』はフォーリミのそういった側面を魅力的に表現した作品であり、“メロコア”と“邦ロック”が美しいメロディとGENのハイトーンボイスを軸にバランスよく共存した非常にクオリティの高いアルバムとなっている。
また、特定ジャンルに居場所を作らない一方で、自らが主体となって『YON FES』というホームグラウンドを築き上げたのも彼らの活動における大きな成果である。今年は動員数を24,000人(2日間)まで拡大し、 Hi-STANDARDの『AIR JAM』や10-FEET『京都大作戦』といった先輩バンドの催しと並べても遜色のない存在感を徐々に放ちつつある。