ニューロティカ、通算2000回目のライブへ向け猛進中! 氣志團との“濃厚な愛に満ちた夜”

ロティカ×氣志團の“濃厚な愛に満ちた夜”

 大五郎カットに目の周りを黒々と塗ったNABO(Dr)、白いラインがアクセントのセットアップをスタイリッシュに着込んだKATARU(Ba)、いかついハードロックスタイルのJAMES(Gt)、そして、

「そうです、私が初老の“ややうけライダー”です!」

 よれた衣装、ではなく、7〜8年ぶりで人造人間にも関わらず筋肉が落ちて来た“ややうけライダー”に変身したアツシ(Vo)だ。まさに出オチ、「88ライダー」1曲歌い切ると怒涛のごとく去っていった。

 楽器隊3人による「No.9」を挟んで、お馴染みの青いピエロ衣装で再登場したアツシを迎えて「五十の夜」。騒々しくも熱いビートと歌声が響き渡る。

「今夜もたくさんお集まりいただきまして誠にありがとうございます。氣志團ちゃんとはいつ頃出会ったのかなぁ、と昨日“曲順ノート”を見ていたら、平成13年7月1日『氣志團現象』でーー」

 2001年7月にここ、当時の渋谷ON AIR WESTで行われた『氣志團現象~ハイウェイに乗る前に~』に出演し、神輿に担がれたことをアツシが口にする。先の翔の話から「“気”志團」と間違えたことをKATARUに問われると、「……お、お袋が書いたんだよっ!」としどろもどろに応えながら、「お、氣志團、並じゃねぇな」と「並みじゃねぇ」へ。曲中4人で絶妙なアカペラ“高円寺中年合唱団”を披露すると、吉川晃司顔負けのシンバルキックを高らかにキメた。

 「Fight ! ~BEST FIGHT~」ではサビをオフマイクでストロングに歌い上げると、「歌の中に〈Come on〉という言葉があって、みなさんと一緒に連呼して歌っていただいたんですけど、」とアツシ。「なんか受け継がれているのかな? 誰かも歌ってるよね? 〈Come on〉っていう歌」と言いながら金色のジャケットを羽織る。俺が〈Come on〉っていうのを30年前に作ったんだけど、なんかこう髪の毛ツッパってるバンドで歌ってるヤツ居ない? おかしいな…… かかってこいや 喧嘩上等!」突如始まった氣志團の「喧嘩上等」で場内は興奮の坩堝と化した。

 氣志團からの愛をたっぷり受け取ったニューロティカからの答酬はまだまだ続く。「富士山には雪、渋谷にはTSUTAYA O-WEST、ニューロティカには「路薫’狼琉狂走曲(ロックンロールクレイジーラン)」。氣志團「鉄のハート」における“走り芸”を受け、急遽セットリストを変更して本家披露。アツシが走る、KATARUが走る、JAMESが走る、……NABOもドラムを放棄し、ところ構わず走り回る。「よく『何で走るんですか?』と訊かれるんですけど自分でもよくわからない。楽しいから走る」とのアツシの言葉通り、観ている側もよくわからないけど、とにかく楽しい。ニューロティカのライブの楽しさは理屈じゃないことを表す光景である。

「あのでっかいZeppで、速いニューロティカを体験してください! でかいところでこんなに速いビートを聴かせるバンドはいないと思うので」

 そう、ニューロティカのバカスカ打ち鳴らされる2ビートはとにかく速い。それでいて本当に気持ちよく心地よく響く。騒がしいのにやかましくはないから不思議だ。シンプルなビートとアツシの歌、長年止まらずに走り抜けてきたロックバンドの生き様を見ている気分になる。決して器用なバンドではないが、ロックバンドのカッコ良さは音楽性の幅、技術やテクニックだけでないことを彼らは教えてくれる。

 翔が好きだという歌、「悲しきピエロ」を久々に披露。つづく「絶対絶命のピンチに尻尾を高く上げろ!」では、ぐるぐるぐるぐる周り続けながら一糸乱れぬグルーヴを紡ぐKATARU。「あっちここっち走りながらあっちこっちのマイクで歌いながら、あなたのために一生懸命ベースを弾いています! 村田語52歳!!」とアツシ。そして、先日のフラワーカンパニーズの鈴木圭介(Vo)を受け「チョイスで会おうぜ」ならぬ、「Zeppで会おうぜ」だ。途中のブレイクで、ディスコ調のビートに変わると「Zeppに来ないか?」とアツシのキメ台詞で氣志團「One Night Carnival」がはじまった。予想外の畳み込みにステージもフロアも場内一丸となって踊りに踊った。変幻自在のアンサンブルで再び「チョイスで会おうぜ」に戻ってくると、アツシ、本日2度目のシンバルキック。しかし、わずかに足が届かず失敗。実は1度目の後、スタッフがシンバルの位置を高くしていたのだ。「違うの、高さは届いてるの! 老眼、距離の問題!」と最前にいたお客さんから眼鏡を奪うと、今度は見事にシンバルを蹴り上げた。そして、スタッフはシンバルをまた高くセッティングするのだった。

「元ニューロティカのギタリスト、トミーちゃんカモーン!!」

 ステージに“トミー”こと、西園寺瞳が呼び込まれる。5年前、ギタリスト脱退に見舞われたニューロティカが真っ先に連絡し、決まっていたライブへの参加を快諾してくれたのがトミーだった。サポートという形で数本のライブであったものの、後日飲みの席にてアツシの前で「自分、元ニューロティカのギタリストです」と自ら名乗っていたことが嬉しかったという。

 新旧ニューロティカのギタリストで送られる「COME ON」「ATKT」、そしてトミーからのリクエストだという「ア・イ・キ・タ」でステージもフロアもすっちゃかめっちゃかのバカ騒ぎ状態に。その様子を2階関係者席から嬉しそうに眺める氣志團の他メンバーが印象的だった。

「氣志團ちゃんカモーン!!」

 アツシの一声で氣志團全員がステージへ。この2バンドが揃えば、演奏する曲はもちろんあの曲。アツシの「34年間歌ってます!」ではじまったのは、DJ OZMAもカバーしたニューロティカが誇る不朽のキラーチューン「ドリンキン・ボーイズ」。印象的な掛け声のコーラスは、ニューロティカVer.「Ya Ya Ya〜」とDJ OZMA Ver.「Na Na Na〜」が交差するスペシャルバージョンで問答無用の大団円。最後のシンバルキックはキまらずも、客席から祝砲の巨大クラッカーがステージ目掛けて放たれた。

「いい汗掻いたか! バカになったか! ロックンロール最高! パンク最高! お前ら最高! 氣志團最高! ニューロティカ、せーの、最高ーーっ!!」

 お互いがリスペクトし合い、濃厚な愛に満ち溢れた最高の夜が終わった。「2000回ライブで会いましょう!!」とステージを後にしたアツシ。2000本目以降のライブ予定は入れていないという。そこまで想いを馳せて挑む10月20日のZepp Tokyoは、とてつもない速いビートに乗って、とんでもない景色が広がることだろう。

(撮影=中島たくみ)

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

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