関ジャニ∞の“新しさ”と“らしさ”ーーアーティストとしての成長感じる新作『ここに』を分析

 最新のオリコン週間シングルランキングによれば、242,452枚を売り上げた関ジャニ∞『ここに』が1位、44,102枚を売り上げたB2takes!『ブラン・ニュー・アニバーサリー/Not Alone』が2位、37,387枚を売り上げた乃木坂46『ジコチューで行こう!』が3位という結果になった。

 『ここに』は関ジャニ∞の通算41枚目となるシングル。先日、渋谷すばるが脱退を発表し7人揃って最後の放送となった自身の冠番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)での生演奏も記憶に新しいが、今回は6人体制での初リリースとなる。ジャケットにはそれをはっきりと示すような「6人がカメラの前で毅然と未来を見据えている」ような雰囲気のある、少々緊迫感漂う写真が使われている。

 作詞・作曲にクレジットされているのは「WANIMAのMA」。これはバンドのWANIMAのKENTA(Vo/Ba)の苗字「松本」の頭文字に由来する。編曲は関ジャニ∞の楽曲に多く関わっているPeachが担当。彼らにとっても新しい試みとなるタッグであり、かつ、長年協力してきたコンビとが交じり合う制作体制である。それは音にも表れていて、WANIMAの直球なスタイルと、関ジャニ∞らしい“がむしゃらさ”の融合した新しくも“らしい”ナンバーになっているだろう。

 新体制での作品ではあるものの大きく路線を変更することはなく、むしろバンドである彼らならではのロックサウンドを見せている。余分な音の削ぎ落とされた音作りは、ストレートな歌詞のテーマにも良く合っている。また、曲の始まりとなる〈止まらない思い 抱いて/慣れない風に吹かれ〉の部分を歌割り上、安田章大がひとりで歌っているが、彼がソロで歌い始めるのはシングル表題曲だと2015年の「前向きスクリーム!」や、2014年の「オモイダマ」あたりにまで遡る。少年っぽさと素直さが混ざり合った彼独特の歌声が冒頭に登場することで楽曲の印象が決定付く。つまり、どこか感情的で愚直な歌い手、というイメージが最初に提示されて曲が始まる。

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