『未確認フェスティバル2018』
10代アーティストが見せた“本気”で音楽と向き合う姿 マイヘアも出演した『未確認フェスティバル』
My Hair is Bad
そしてライブゲストには、My Hair is Badが登場。彼らは『未確認フェスティバル』の前身である『閃光ライオット』に2年連続での出演経験を持つが、どの年もファイナルステージには届かなかった。椎木知仁(Gt/Vo)は「『未確認フェスティバル2018』。10代皆カッコよかったぜ。後は俺たちに任せてくれ!」と煽り、渾身の「アフターアワー」で会場を一体にさせ、「告白」へ。椎木は「俺の言うこと聞く必要ひとつもないから、好きにしてくれていいから」と明言した後、バンドとして鳴かず飛ばずだった頃のエピソードを述懐。当時、君達なら大丈夫と声を掛けてくれた音楽業界人がいたのだが、その人は突然、会社を辞めてしまったそう。未来を保証してくれるような言葉だけを残し、突然いなくなったその大人に、椎木は憤りを覚えたという。 だからこそ、椎木は他人に無責任な言葉で期待させてしまうことを忌み嫌う。 「あの日ファイナルステージに行けなかった落ちこぼれ、My Hair is Bad。そんなバンドが10年後、ここにライブしにきました」と言い切り、即興曲「フロムナウオン」へ。椎木はスポットライトに当てられ、ギターを思う存分に掻き鳴らしながら、激流を下るかの如く、脳内の言の葉を羅列していく。
『閃光ライオット』のファイナルステージに惜しくも立てなかった彼らは、希望を捨てることなく音楽を続けた末に今、憧れたステージにゲストとして立つ。最後に「かっこいいセンス、才能はいらない。一番大事なことはたった一つ"続けること"だよ。俺はこう思ってる。バンドを続けてて良かったぜ」と快哉を叫び、「真赤」を披露。彼らの本気の姿に一切抜け目はなかった。
総括
『未確認フェスティバル2018』では、10代ならではの瑞々しい感性で作られた新たなサウンドから、ブルースやオルタナティブロック、90'sUKロックなどのサウンドが軸になった音楽までが見受けられた。移り変わる時代の中、古き良き伝統を受け継ぐ精神を持つ10代が存在することは、誇りに思うべきことであろう。そんな中、どのアーティストにも共通していたのは、こぞって本気で音楽と向き合う姿だった。本気の伝え方はMy Hair is Badのように言葉中心だったり、ステレオガールのように踊りだったりと千差万別ではあったが、アーティストの本気を窺わせる姿は多くの人の心に刺激と感動を与えたに違いない。その本気度は、勝負に敗れた経験がある人ほど、より深くなるのだということをMy Hair is Badのステージを見て実感せざるを得なかった。苦しみと葛藤しながらも前進し続けたMy Hair is Badは、『閃光ライオット』に出演した時よりも悔しさをバネに本気を魅せる力が増し、観客一人ひとりに希望を与えた。今回、軍配が上がらなかったものの希望を与えられたであろう10代のアーティストも、今後さらなる進化を遂げ、もっと素晴らしい景色を見せてくれることだろう。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライ
ター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real
Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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