森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.114
V.I (from BIGBANG)、関ジャニ∞、Aimer……アーティストの“ルーツ”が感じられる新作
“エルレより、普通に、魂が好き!”という書き出しで原稿を書いてみたいと思っている筆者はグループ魂のメンバーと同世代であり、彼らと同じようにSex PistolsやThe Clashやアナーキーやザ・スターリンが大好きな子供だったわけだが、信じられないことに30年くらい経った現在でも〈No future/No future for you〉のサビでおなじみのSex Pistols「God Save the Queen」を聴くといきなり盛り上がってしまう。とは言えジョニー・ロットンも自分も気が付けば立派な中年なわけで、人生折り返しどころか、残りのほうが確実に短くなりつつあり、「おいおい、ホントに“No future”じゃねえか!」というのが、グループ魂の新曲「もうすっかり NO FUTURE!」だ。演奏もジャケットのデザインも初期パンクが好きな人にはたまらない仕上がりだが、自分たち自身をネタにした身体の張り方こそがものすごくパンク。やっぱり信用に足るパンクバンドである、グループ魂は。
グループ魂「もうすっかり NO FUTURE!」MV -YouTube Ver.-
カクバリズム移籍第一弾となった前作『夜のすべて』がスマッシュヒット、収録曲「ダンスに間に合う」で知名度を上げた思い出野郎Aチームの新作は、夏の終わり、秋の始まりにぴったりのメロウ&ミドルなナンバーを中心にした5曲入り1st EP『楽しく暮らそう』。70年代シカゴソウル、ノーザン・ソウル、00年代以降のネオソウルを軸にしながら、ラヴァーズ・ロック、ファンク、ゴスペルなどを加えたサウンドからは、メンバーのルーツミュージックがはっきりと感じられる。タイトル通り、“いろいろあって辛いけど、いい音楽で踊って楽しく過ごそう”という思いに溢れた歌詞にもグッとくる。そう、新しき光と道を示してくれるのは、いつだってソウルミュージックなのだ。
思い出野郎Aチーム 1st EP『楽しく暮らそう』Official Teaser
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。