藍井エイル、強く美しい魂の帰還ーー再会の“約束”果たした日本武道館公演を見て

藍井エイル、日本武道館ライブレポート

「今日のライブでは、私の歌や想いを届ける場所を沢山の人達が作ってくれました。それは、何よりもみんながこうやってずっと待っていてくれたからです。本当にどうもありがとうございます。私にはこうやって感謝を伝えたい人たちが沢山います。この気持ちをこれからも歌に沢山込めて、ありがとうを届けていきたいです。最後は、私の感謝の気持ちを目一杯込めてお届けしたいと思います」

 そして披露されたのは「虹の音」。色を取り戻した鮮やかな歌声が、万感の想いと共に吹き抜けていく。通り過ぎた後を彩っていく。虹色に輝いていく。歌詞の「君」は、今、この場では観客一人一人なのだろう。

〈君と手を繋いで〉
〈君がくれたものは温かく、優しい〉

 待っていてくれた人たち全ての気持ちに向き合うように、歌は響いていく。伸びやかに、穏やかに。皆の心に灯りを灯して、流れていく。こうして本編は幕を下ろした。

 アンコールでは、グッズの青いTシャツを着た姿でダンサーを引き連れて再登場し、「シリウス」を披露。ダンサーが簡単な振り付けで客席をアジテートし、皆がそれを真似して和気藹々とした雰囲気で盛り上がる。ラストはバンドメンバーの黒須克彦が作曲した「ヒトカケラの勇気」で幕を閉じた。ダンサーやバンドメンバーと手を繋ぎ、観客と一緒に「エイエイルー!」と5回コールした後も、地声で感謝の言葉を届けるなど、何度も何度も気持ちを伝えて、名残惜しそうにステージを去った後、ステージ上のビジョンには、「待っててくれてありがとう!! 新しい景色をまた見つけよう!」という直筆の文字が映し出されていた。

 『LAST BLUE』から『RE BLUE』――別れの場から再会の場へと変わった日本武道館を経て、藍井エイルは再び新たな地平へと挑んでいく。まずは10月24日にテレビアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のエンディングテーマ「アイリス」を収めたシングルをリリース。さらに12月には東名阪でファンクラブツアーを行う。しかし、これはまだリスタートの発端にすぎない。この日見た景色と、輝くような生命の光をさらに塗り替えていくような奇跡を、きっと彼女は見せてくれるのだろう。帰還は次なる栄光と伝説の序章でしかない。それを考えると、胸の高鳴りを抑えられなくなる。そんな余韻にずっと浸っている。

(文=石川雅文)

蒼井エイルオフィシャルサイト

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