KREVAが語る、『存在感』の制作背景とヒップホップのこれから「しっかり点を打ちたい」

KREVAが明かす『存在感』制作背景

若手のいいビートメイカーが育ってほしい

ーーKREVAという人は、基本的に孤高な人ではないと思うんです。慕っている下の世代も多いし、『908 FESTIVAL』みたいにジャンルを超えた領域から集まるフェスもやっている。つながりはいろんなところにある。そういう人が、トラックもアイデアもプロダクションも一人でやるというのって、どういう象徴なんだと思います?

KREVA:そうだなあ、来年、2019年がソロ15周年なんですよ。そこはやっぱり、いろんなことをやって盛り上げたいと思うんです。それはギフトみたいなものだから。で、その前に一人でやっておきたかったというのはあったのかな。一回、しっかり点を打ちたいというか。本当はみんなで「いいね、いいね」ってやっていったほうが楽しそうかなって思ったけど。ただ、瞬発力で形にするおもしろさとか、強さみたいなものを感じることができたから。一つのいい武器ができたと思いますね。

ーーソロデビューからいろんなことをやってきたわけじゃないですか。まだやってないこと、攻めたりないことってあります?

KREVA:あります、あります。たとえば全曲自分じゃない誰かが作ったビートでやりたいというのはありますね。トラックを誰かに全部任せるのってやったことないし。しっかりプロデュースしてもらうこともないし。誰かと一緒に作るっていうのもない。

ーー一緒にやるとするならば、誰が思いつきますか?

KREVA:たとえばBACHLOGICに全曲を作ってもらうのも生きてるうちにはやりたいかな。あと、いろんなところで言ってきたんですけれど、いいトラックメイカーをピックアップしたいというのもある。若手のいいビートメイカーが育ってほしいなって思うしね。

ーーそうですね。特に今の10代でトラックメイカーになろうという人は沢山いると思います。

KREVA:そうそう。iPhoneに入ってるこの音でよくね? これでラップしちゃわね? っていう。どこにいても、自分たちの環境を自分たちが作ったビートで表現するというのはできそうだから。たとえばそういうのもやってみたいかな。たとえば前にJay-Zのアルバムにビートがピックアップされた10代の女の子がいたけど、彼女はAbleton Liveの使い方をYouTubeで見て覚えて、初めて作ったビートがピックアップされたって言っていて。それと同じように、機材の使い方の動画を見てインスパイアされることもあるし。だから自分も、もうちょっと手の内を明かしてもいいかなって思いますね。今作っている人たちに、こうやってビートを組んでるって。

ーーじゃあ、若手のトラックメイカーも是非このインタビューを参考にしてもらえればと思うんですけど、機材やソフトはどういうものを使ってるんでしょう?

KREVA:俺は最近はビートに関しては、Native Instruments Machineのプリセットの中から、時間があるときに格好いいのを選んでますね。フェイバリットマークみたいに星がつけられるんですよ。たとえば「このスネア、いいな」と思ったら星をつけておく。で、いざ曲を作りたいってなったときに、星がついている中から曲のフィーリングにあったスネアを選んでいく。常に選ぶ作業をしていて。ゼロから作るということは全くない。ただ、それでも納得いかないときは、昔から使っているMPC3000に一回サンプリングする。そういう作業をして自分の納得いく鳴りとかノリにしてやっています。

ーーその「いい音」っていうのは、感覚的なものですよね?

KREVA:感覚ですね。ただ、これはよく思うんだけど、「ヒップホップ・ビート」みたいな名前のいろんな音源が沢山売ってるんですよ。でも「ヒップホップ」っていう名前のやつに俺がヒップホップを感じる音が入ってないことが多いっていうのは言っておきたいかな。

ーーなるほど。それは興味深い。

KREVA:ヒップホップって、もともとソウルとか、ヒップホップじゃない音楽をサンプリングして組み合わせて作っている音楽なわけで。誰かが「これがヒップホップだ」と考えて作ったようなものは、俺から言わせるとあまり使い物にならない。薄味の音にしか感じないから。それと、正直、レコードの音を知っているというのは、すごく重要な気がする。

ーー古い日本の歌謡曲とかもヒップホップになりうる。

KREVA:むしろそのほうがヒップホップになると思うんだよね。RHYMESTERの宇多丸さんが言っていたんだけど、サンプリングのおもしろさって時間の流れが直線的じゃないところにあって。たとえば30年くらい前の音を切って持ってきて最新にしちゃうっていう。とはいえ、そこに来るまでの直線を理解しているかどうかで違うって感覚もあるかな。

ーー特に今は90年代が歴史になりつつある時代ですもんね。そこを切り取ってもいいし。

KREVA:まさに。ドレイクのアルバムもそうだったけど、今は90年代から00年代の曲がサンプリングソースになっている。時代が動いてる。そういう風に作っていくほうが面白いものを作れそうな気がするからね。

(取材・文=柴那典)

■リリース情報
『存在感』
発売:8月22日(水)
【初回限定盤(CD+DVD)】¥2,300(税抜)
【通常盤(CD)】¥1,500(税抜)
※初回限定盤はスペシャルパッケージ(デジパック仕様)
〈CD〉
1. INTRO
2. 存在感 
3. 俺の好きは狭い 
4. 健康 
5. 百人一瞬 
〈DVD〉
1. 存在感 (Music Video)
2. 存在感 (Making)

・配信情報
8月22日(水)より、iTunes Storeほか主要配信サイト、Apple Music、dヒッツほか定額制聴き放題サービスで配信予定

『存在感』特設サイト

■ライブ情報
『908 FESTIVAL 2018』
8月31日(金)日本武道館
出演アーティスト:KREVA / 三浦大知 / 絢香 / JQ from Nulbarich / 尾崎裕哉 /高畑充希
開場/開演:17:30 / 18:30
チケット代:8,300円(税込)
※U19キャッシュバック(19歳以下の来場者には当日500円返金)
908 FESTIVAL特設サイト

『クレバの日 スペシャルライブ 〜大阪編〜』
9月08日(土) Zepp Osaka Bayside
開場/開演:17:45 / 18:30
1Fスタンディング/スペシャルプレゼント付 ¥9,080(税込)
2F指定席/スペシャルプレゼント付 ¥9,580(税込)
一般公演チケット発売日:9月1日(土)
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00-18:00)
クレバの日〜大阪編〜特設サイト

オフィシャルサイト

KICK THE CAN CREW

■リリース情報
『住所 feat. 岡村靖幸』
発売:8月29日(水)
初回限定盤(2CD)¥2000+税
通常盤(CD)¥1000+税 

<CD収録曲>
1.住所 feat. 岡村靖幸
2.Keep It Up 
3.住所 feat. 岡村靖幸 (Inst.)
4.Keep It Up (Inst.)

<BONUS CD> ※初回限定盤のみ付属
昨年発表した最新アルバム『KICK!』ライブ音源を全曲収録
01. 全員集合
02. 千%
03. 今もSing-along
04. SummerSpot
05. なんでもないDays
06. 完全チェンジTHEワールド
07. また戻っておいで
08. また波を見てる
09. I Hope You Miss Me a Little
10. タコアゲ

8月29日よりiTunes Storeほか主要配信サイト、Apple Music、dヒッツほか定額制聴き放題サービスで配信予定

KICK THE CAN CREW 「住所 feat. 岡村靖幸」Music Video

■ライブ情報
KICK THE CAN CREW
『現地集合~武道館ワンマンライブ~』
9月1日(土)日本武道館

■関連リンク
KICK THE CAN CREW HP
岡村靖幸 OFFICIAL HP
KICK THE CAN CREW New Single「住所 feat. 岡村靖幸」スペシャルサイト

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