月蝕會議、Avec Avec、サイプレス上野……『ヒプノシスマイク』支えるクリエイター陣に注目
もちろん、以上のようなクリエイター陣のスター性が楽曲のクオリティに直結するとは必ずしも言えないが、彼らの音楽性が『ヒプノシスマイク』に投影されることで、同作の今後目指すべき方向性も徐々に明らかとなるだろう。
また、その滑舌の良さと声幅の豊かさを持つ声優だからこそ、監修ラッパーのフロウを自在に演じられることや、既存のアニメ・声優音楽ユニットに対して、音楽構造的な観点から明確な住み分けを行なっていることも、人気の要因に挙げられるだろう。後者において、既存のアニメ輩出ユニットによる“全員曲”では、各メンバーが1~2フレーズを交代で歌うのに対し、『ヒプノシスマイク』では8~16小節のヴァースが割り当てられる。多くのJ-POPがAメロ→Bメロ→サビと展開するのに対し、ラップではAメロ(ヴァース)→フックに直接進行するため、両者の楽曲は同じ数分間のものでも、全く違う構造を伴っている。『ヒプノシスマイク』の楽曲が、各MCのキャラクターを前面に押し出せるのは、このような理由からだろう。
声優による巧みなフロウ、ヴァースを歌うラップの強み、そして錚々たるクリエイター陣の尽力により、様々な人気要因を兼ね備えた『ヒプノシスマイク』。今後はどのようなクリエイターやラッパーとコラボし、作品展開を行うのか楽しみだ。
(文=青木皓太)