井上陽水は70歳を迎える“いまが旬” バンドサウンドによる全国ツアーファイナル公演

井上陽水は70歳を迎える“いまが旬”

 「時間は止めようがございません。歌ったりしゃべったりしながら時間が過ぎていますけども、何となく終わりが近いんだなと予感していただければと。我々の年代にはグッと染み入るような話でしたね」というMCから、ジャズ、ブギウギのテイストでリアレンジされた「少年時代」で爽やかな夏を演出させた後、ライブは後半へ。

 「“気をつけて、お嬢さん”という歌です」という9年ぶりのニューシングル『care』の表題曲(7月25日リリース/大塚製薬『ポカリスエット』新CMソング)、疾走感のあるサウンドとともに〈バスの中はとっても寒いけれど/君の嘘や偽り程じゃない〉というラインが響き渡る「夜のバス」、真偽のわからない情報が飛び交う2010年代の社会を予見したとしか思えない「最後のニュース」、そして、重厚にしてドラマティックな演奏、濃密なエモーションを放つボーカルを軸にした「傘がない」で本編は終了した。

 アンコールで登場した井上陽水は「たくさん拍手をいただき、ありがとうございました。長い間座ってるのも大変でしょう。いきなり外に出るとめまいとか心配ですので、少し運動してから出てくださいね」と観客を立たせ、強靭なファンクネスを備えた「氷の世界」、ドリーミーなポップワールドを描き出す「夢の中へ」という名曲を披露。大喝采のなかツアーはエンディングを迎えた。

 名曲、代表曲を惜しげもなく披露しながら、決して“古き良き”ではなく、きわめて現代的なロックロール、ポップミュージックを体現してみせた今回のツアー。今年70歳を迎える井上陽水は、大げさでも何でもなく、いまが旬。次のツアーは絶対に(特にこれまで井上陽水の音楽に触れてこなかった30代以下の音楽ファンに)観てほしいと思う。

(写真=三浦憲治)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■セットリスト
『井上陽水 コンサート2018 ROCK PICNIC』
7月3日(火)東京・Zepp DiverCity TOKYO

1.アジアの純真
2.女神
3.Make-up Shadow
4.映画に行こう
5.My House
6.瞬き
7.東へ西へ
8.帰れない二人
9.感謝知らずの女
10.Just Fit
11.少年時代
12.care
13.夜のバス
14.最後のニュース
15.傘がない
【アンコール】
16.氷の世界
17.夢の中へ

■リリース情報
井上陽水 ニューシングル『care』
発売日:7月25日(水)(※ダウンロード・ストリーミングにて配信中)
価格:1,080円(税込)

<収録曲>
M-1  care
M-2  MUSIC PLAY

■関連リンク
井上陽水 オフィシャルサイト

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