嵐 二宮和也、高いMCスキルはどう培われた? 『ニノさん』過去企画から考える

 先の振り付けを覚えるときにも二宮は、モニター越しに全体を確認していた。トークショーのバランスを保つにもこの俯瞰する力が不可欠のように見える。こうしたスタイルは、どこで培われたのだろうか。そんな二宮の根源にも迫る回があった。“嫌われ者に学ぶ ピカレスク人物伝”では、いかりや長介から「お前とだったらどんな結果であれ、一緒に死んでやるよっていう人を絶対ひとりは見つけなさい」と教わったことを明かす。それから二宮は新しい作品をやるたびに「この人一緒に死んでくれるのかな」と考えながら「死んでくれるんだったら全部出して、それ以降ドラマは出ない、映画は出ない、これで一緒に死ぬ」という覚悟を持って取り組んでいると語る。ちなみに、これまで二宮に対して「一緒に死のう」と言ったのは蜷川(幸雄)だった、とも。ザ・ドリフターズのリーダーを務めたいかりや、数々の作品で監督を務めた蜷川のイズムが、二宮の中に生き続けているのだ。多くの苦労と成功を手にした大先輩の言葉を反芻しているからこそ、二宮は常に冷静かつ真摯的な態度が崩れないのだろう。

 人生の転機から生まれた哲学を学ぶ“私は今、○○です!”の企画でも、芸能界の先輩たちに対する二宮の眼差しが熱いことに気づく。MCとして進行を務めながらもゲストの生き様を尊敬し、何かを吸収していこうとする謙虚な姿に、人としての器の広がりを感じる。二宮の人間性が豊かになるほど、この『ニノさん』という番組は面白くなっていくのだろう。6月30日の放送回は、二宮の過去も振り返るようだ。きっと彼の成長ぶりに驚かされ、これからもその進化を見届けていきたいという気持ちに浸れるのではないだろうか。

(文=佐藤結衣)

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