鈴木愛理「光の方へ」でも際立つ、赤い公園 津野米咲のギタリスト&コンポーザーとしての魅力

赤い公園のリーダーであり、バンドマスターとして

 赤い公園は、本来ギターが務めるような楽曲の要となる派手なフレージングをベースの藤本が担い、バンドが持つ“とっちらかっている”自由奔放さを演出するのはドラムの歌川といった場合も少なくない。そうしたとき津野は歌とアンサンブルの合間を縫うように、隙間に合いの手を入れるようなポジションにいる。ライブにおいても客席側より、ほかメンバー3人の方を向いている時間の方が長く、それはステージ中央に向かって配置されたマイクスタンドとペダルボードからも伺える。ギタリストであると同時に、バンドマスター的な立ち位置にいることは目にも明らかであり、だからこそ、細やかなこだわりが生まれていくのかもしれない。

うねるベースと乱れるドラム、一歩引きながらもなくてはならないギター 赤い公園「KOIKI」

 アイドルネッサンスの石野理子の加入も大きな話題となった、赤い公園。石野のどこか陰々たる落ち着いた声質は、明瞭でゴージャス感のある佐藤千明のボーカルスタイルとは正反対でもある。しかしながら、赤い公園の音楽性の面白さは、引き出しの多さが尋常ではなく、似たような楽曲の被りがないことだ。変化球含め、あらゆる様式を用いてくるのがこのバンドの魅力であり、同時にそれは津野のコンポーザー、ギタリストとしての面白さでもある。

 新しい赤い公園は、どんな楽曲を生み出していくのだろうか。「新ボーカルを経歴年齢性別関係なく探し始めたのもその頃」(Twitterより)と津野が語る、鈴木愛理との邂逅は、いろんなものをもたらしたのだろう。「ベット・ミドラーを聴きながら(同曲仮題)」あらため、「光の方へ」を聴きながら、新・赤い公園の本格始動を待つとしよう。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

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