大阪☆春夏秋冬、“型破り”なスタイルで急上昇? ライブアーティストへと至った軌跡を振り返る

大阪☆春夏秋冬、“型破り”なスタイルで急上昇?

 昨年10月にシングル『Travelin' Travelin'』でメジャーデビューを果たした“カタヤブリな浪花のロックンガール”大阪☆春夏秋冬が、待望のメジャー1stアルバム『SSFW』を6月12日にリリースする。メジャーデビュー以降、先の『Travelin' Travelin’』に加え『SPARK!』(昨年12月発売)と2枚のシングルを発表し、精力的なライブ活動を展開してきたが、その勢いは現在とどまることを知らない状態だ。

大阪☆春夏秋冬 / 1st FULL ALBUM「SSFW」全曲トレーラー

 大阪☆春夏秋冬は文字通り、大阪にて結成された女性ボーカル&ダンスグループで、現在はMAINA、ANNA、MANA、EON、YUNA、RUNAの6人編成。2012年の結成当初こそアイドル的な側面を打ち出していたが、MAINAをメインボーカルに据えたスタイルに移行した2014年頃から、そのパワフルなパフォーマンスに注目が集まるようになる。また、楽曲自体も同時期から音楽プロデューサーのSOEZIMAXが手がけるロック色の強いものへとシフトしたことで、徐々にその個性を確立していった。

 彼女たちにとって最初のターニングポイントは、2015年夏に開催された『TOKYO IDOL FESTIVAL 2015』だろう。ここで披露した圧巻のパフォーマンスに大勢のアイドルファンから賞賛が送られ、多くのアイドルファンに“見つかった”と言われている。筆者もこのタイミングに彼女たちと出会っており、そのパフォーマンススタイルや楽曲の方向性に興味を持ったことを今でも覚えている。

 しかし、彼女たちはここで一気にブレイクスルーすることはできず、メンバーの脱退やライブ動員数の低迷などピンチを迎える。そして2016年10月には現在のメンバー構成に落ち着き、ここから大阪☆春夏秋冬の本領発揮と言わんばかりの逆転劇がスタートした。彼女たちはこの低迷期に自分たちと向き合い、個々のパフォーマンス力向上を目指しつつ、地道なライブ活動を続けていく。2017年に入ると韻シストが作詞を手がけたR&Bナンバー「New Me」を発表し、この曲がオリコンデイリーシングルランキングで1位を獲得した。この曲はヒャダインをはじめ、多くの関係者やリスナーから高い支持を得ることに成功。また、これと前後して放送されたテレビ番組『指原議長とアイドル国会』(フジテレビ)に出演し、HKT48の指原莉乃から“大阪ちゃん”の愛称で親しまれたことで、再び知名度を高めていく。

大阪☆春夏秋冬/New Me(MV)

 そんな浮き沈みを繰り返しながら、大阪☆春夏秋冬は昨年10月に待望のメジャーデビューを果たした。順風満帆とは言い難いその歴史と、ピンチはチャンスと前向きに捉える姿勢からは、どこか泥臭さすら感じられ、そういったストーリーが多くのファンから共感を得ているのではないだろうか。

 実は5月11日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われた『定期公演☆其の二「ドブネズミみたいに美しく」』で、久しぶりに大阪☆春夏秋冬のライブに足を運んだのだが、初めて観た頃と比べて大きく変化/進化していることに驚かされた。4月から月イチでの開催がスタートしたこの定期公演では、毎回テーマを設けてライブを展開。第2回となったこの日は冒頭で演劇性の強い演出が用意され、そこから6月発売のアルバム『SSFW』のリード曲「世界には僕らだけ」が初披露された。こういった試みは、今後彼女たちの表現力の幅を広げることに大いに役立つのではないだろうか。

 そして、ライブ本編でのパフォーマンスやトークからは、彼女たちのここ数年の経験が大いに反映されていた。メインボーカルを務めるMAINAの歌唱力は飛躍的に高まり、アッパーなロックチューンから「New Me」のようなファンクチューン、さらにはバラード「Last Day」でのソロ歌唱と、歌声に惹きつけられる瞬間が多々あった。

 ANNA、MANA、EON、YUNA、RUNAのダンスパフォーマンスもダイナミックで見応えがあり、曲によってはメンバーが次々とサイドボーカルを務めていく。これに合わせて、観客も一体感の強い盛り上がりを見せ、ステージ上のメンバーのみならず、その場にいる者すべてでライブを作り上げていることが伺えた(MC中での、関係者席にいる者までも巻き込んだダンスも、その一環と言える)。

大阪☆春夏秋冬 / 世界には僕らだけ -MUSIC VIDEO-

 この日、新曲「世界には僕らだけ」はオープニングとアンコールで計2回披露された。初めて耳にする楽曲に、最初こそ会場のファンは様子を見つつ聴き入っているように見えたが、アンコールでの披露時には早くもキラーチューンのような盛り上がりを見せていた。特にこの曲のダンスは見応えのあるもので、それもそのはず、世界的に活躍するダンサーavecooとのコラボレーションから生まれたもの。切ない曲調と和洋折衷の新衣装とが相まって、このグループの多面性を強く感じさせるこの新曲は、今後の大阪☆春夏秋冬にとって新たな武器になることが期待される。

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