THE BEATNIKSが貫き続ける“美学” 7年ぶりのワンマン公演レポート

THE BEATNIKSが貫く“美学”

 アンコールは、まず「Unfinished Love 〜Full of Scratches〜」から。高橋幸宏の高音が美しいミディアムナンバーだ。そして、『EXITENTIALIST A GO GO ビートで行こう』の冒頭を飾る「TOTAL RECALL」へ。この楽曲は、本来はある自動車会社のCMソングに起用されるはずだったが、曲名が問題になり使用されなかったという有名なエピソードがある。当夜のMCでも高橋幸宏が「言い飽きた」と笑いつつ紹介していた。THE BEATNIKSいわく「大ヒットを逃した」。しかし、当夜はTHE BEATNIKSの最大のヒット曲のようにライブの最後を飾っていた。今聴いても非常にクールで、THE BEATNIKSらしいセンスの楽曲なのだ。

 こうして、新作『EXITENTIALIST A XIE XIE』のリリースに合わせた、約7年ぶりのワンマンライブは終了した。ステージ上の9人が肩を組んで頭を下げると、スクリーンには「THANK YOU」。そして終演後は「GOOD NIGHT」の文字が浮かんだ。政治的な怒りをストレートな言葉にはしないが、歌詞として婉曲的に表現していたライブ。最後の最後までTHE BEATNIKSの美学を感じさせたのが『THE BEATNIKS Live 2018 ビートニクスがやってくる! シェ! シェ! シェ!』だった。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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