THE BEATNIKSが貫き続ける“美学” 7年ぶりのワンマン公演レポート

THE BEATNIKSが貫き続ける“美学” 7年ぶりのワンマン公演レポート

 出口を見つけたと思ったのにそこは入口だった。そして、怒りを抱えても直截的な言葉にはせず音楽を作っていく。高橋幸宏と鈴木慶一によるTHE BEATNIKSはそんなユニットだ。2018年5月11日にEX THEATER ROPPONGIで開催された『THE BEATNIKS Live 2018 “ビートニクスがやってくる! シェ! シェ! シェ!”』で見せたのは、THE BEATNIKSならではの美学に貫かれたステージだった。

THE BEATNIKS

 THE BEATNIKSの名は、BeatnikつまりBeat Generationに由来する。開演前の会場には、ボブ・マクファデン&ドールの「The Beat Generation」、リチャードパインの「Beatnik Bill」、ルイス・ナイの「Teenage Beatnik」、The Coconut Monkeyrocketの「The Accidental Beatnik」、アリス・スチュアートの「Beatnik」などビートニク関連の楽曲が流れていた。

 開演すると、SEの「Crepuscular Rays」とともにシルエットがステージのスクリーンに浮かびあがり、メンバーが登場。全員が登場したときには「THE BEATNIKS」の文字が浮かんだ。

 当夜のTHE BEATNIKSをサポートしたのは、ゴンドウトモヒコ(Euph/Tp/Glo)、砂原良徳(Syn)、白根賢一(Dr)、高桑圭(Ba)、堀江博久(Key)、永井聖一(Gt)、矢口博康(Sax)といった猛者ばかり。1曲目の「鼻持ちならないブルーのスカーフ、グレーの腕章」からして音の厚さに驚かされた。なお、THE BEATNIKSが1981年にデビューした時点では、永井聖一が生まれていなかったこともMCで言及されていた。彼は1983年生まれなのだ。

 1982年のシングル曲「River In The Ocean」では、高橋幸宏と鈴木慶一の声質が当時から大きくは変わらないことも実感した。「Go and Go」はさながらカントリーロック。英語と日本語による「Brocken Spectre」は実に繊細なサウンドだ。1981年の『EXITENTIALISM 出口主義』収録の「Inevitable」では、イントロのマテリアル音が鳴った瞬間に拍手が起きた。当時のサウンドの感触を再現しつつ、そこに生楽器も響くのが現在のTHE BEATNIKSだ。同アルバム収録の「Now And Then」での高橋幸宏のボーカルのグラマラスさには、不意に「ニューロマ」という単語も思い浮かべた。1987年の『EXITENTIALIST A GO GO ビートで行こう』収録の「COMMON MAN」は、マテリアル音からジャジーなピアノやサックスへと展開し、生演奏で再構築された熱演となった。

 当夜のハイライトのひとつは「Left Bank」だった。鈴木慶一作詞、THE BEATNIKS作曲によるこの楽曲は、高橋幸宏の1988年の『EGO』、そして鈴木慶一の1991年の『SUZUKI白書』でも歌われてきた。作詞家としての鈴木慶一の最高到達点のひとつであり、最後の一節まで完璧な歌詞を、高橋幸宏はギターを持つこともなく歌のみに専念して歌いあげた。

 「Softly-Softly」「ほどよい大きさの漁師の島」でも高橋幸宏と鈴木慶一のボーカルをじっくり聴かせ、「BEAT印のDOUBLE BUBBLE」では実にフィジカルな演奏を聴かせた。

 MCでは、高橋幸宏が「ドラム、賢ちゃんいるから助かるわ」と白根賢一に感謝し、鈴木慶一が「キース・ムーン!」と形容する一幕も。そして、『EXITENTIALIST A GO GO ビートで行こう』収録の「ちょっとツラインダ」では、ツライわりには力強いドラムが響くことになった。イントロが鳴った瞬間に客席から歓声が起きたのは、『EXITENTIALISM 出口主義』収録の「No Way Out」。テクノと生音をミックスする演奏には、2007年の2度目の復活以降のYellow Magic Orchestraを連想した。

 ニール・ヤングのカバー「I’ve Been Waiting For You」で熱いロックサウンドを聴かせ、そのままノンストップで「Ark Diamant」へ。『EXITENTIALISM 出口主義』収録のこの楽曲は、緊張感がありつつもダンサブルだ。椅子席で見ていた観客が立ち上がる姿も見られた。

 2001年の『M.R.I〜Musical Resonance Imaging』収録の「Dohro Niwa」の低音が重厚だったのは、高橋幸宏と白根賢一によるツインドラムが展開されたからだ。バンド全体による長いセッションも。

 そして本編ラストは、2017年5月3日の『赤塚不二夫生誕80年企画 『天才バカボン』『もーれつア太郎』50周年記念 バカ田大学祭ライブ』のために書かれた「シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya」。この楽曲には、『おそ松くん』のイヤミの「シェー」のポーズを模したユーモラスな振り付けがある。約7年ぶりの最新作『EXITENTIALIST A XIE XIE』にとっての「出口」とは、意外にも赤塚不二夫だったのだ。

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