HKT48『早送りカレンダー』は一足先に夏を届けるシングルに “陰”と“陽”示した収録曲を分析

 カップリングの「季節のせいにしたくはない」は、一転してシリアスな曲調。「早送りカレンダー」は梅雨明け後の夏を歌っていましたが、それは「季節のせいにしたくはない」でも同様です。しかし、「季節のせいにしたくはない」は<僕たちの関係もカビが生えた>と歌う別れの歌で、<すぐにキスしよう>と明るく歌っていた「早送りカレンダー」とは対照的なのです。

 同じ季節を舞台にして、「陽」であるのが「早送りカレンダー」、「陰」であるのが「季節のせいにしたくはない」という構造になっています。

 Type-Aのカップリング「Just a moment」は“幸せDAパンケーキ”名義。「季節のせいにしたくはない」から続けて聴くと、唐突なほど明るい楽曲です。コーラスにはオールディーズ風味も感じます。

 Type-Bのカップリング「会いたくて嫌になる」は“やっぱりみたらし団子”名義。こちらはマイナーコードを随所に使ったメランコリックな楽曲です。

 Type-Cのカップリング「僕の想いがいつか虹になるまで」は“さくらはなみく”名義。ギターロックで、真夏の学校のグラウンドを描きながら恋を歌う楽曲です。

 というわけで、HKT48はすでに夏。福岡はすでに夏。一足先にサマーソングを届けるシングルが『早送りカレンダー』です。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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