androp 内澤崇仁、Aimerコラボ曲で伝えたメッセージ 「音楽は人を救うものだと信じてる」

androp、Aimerコラボの裏側

「大勢ではなく、一人一人に届く曲になったらいいなと思う」

ーー構想8年の楽曲が完成したときは、どんなふうに感じましたか?

内澤:こういう音像を聴いたことがなかったで、まずはそのことに感動しましたね。もちろん、Aimerさんの歌によって与えてもらった感動もあるし……。自分自身のことでいえば、さっきも言った通り、死生観をここまで直接的に表現できたことが大きいと思います。“死を想う”というタイトルもそうですが、あまりにも直接的に表現すると嘘っぽくなるような気がしていたんです。でも「Memento mori」は直接的でありながら全然薄っぺらくないし、しっかり自分の想いを込められたという手応えがあって。それはAimerさんのおかげだし、この8年間で自分たちが培ってきたことも活かせたんだと思います。

ーーキャリアを重ね、いろいろな経験をしてきた現在だからこそ表現できた楽曲だと。

内澤:年齢を重ねるにつれて、「いつか死んでしまうからこそ、いまを一生懸命に生きないといけない」という想いが強くなってるんです。でも、いじめが原因で亡くなってしまったり、悩んで苦しんだ結果、自分で命を絶つ人もいるじゃないですか。生きること、死ぬことを何もわかってないやつのせいで、自ら死を選ぶ人がいるのは本当に悲しいし、やるせない。僕は「音楽は人を救うものだ」と信じているので、こうやって自分たちの音楽を届けられる限り、そのことを表現していきたいんですよね。

ーー「Memento mori with Aimer」の最後のフレーズ<どうせ消え去る前に>には、前向きに生きることに対する強い想いが込められているんですね。

内澤:そうですね。どうせ死ぬんだから、一生懸命に生きて、今を楽しむべきだなって。いまの日本は、死に対して鈍感になっているというか「明日、死ぬかもしれない」という気持ちで生きている人が少ないと思うんですよ。考え方はいろいろありますけど、僕としては「明日、死ぬかもしれない」という気持ちで生きていたほうが、後悔のない人生になると思っていて。たとえば、余命を突き付けられると、「残り少ない時間をどう生きようか?」と考えるじゃないですか。そういうふうに「自分が本当にやりたいことって何だろう?」とか「いまやっていることは必要なんだろうか?」と考えることの大切さというか……。それを脅迫的に突きつけるのではなく、この曲が何かを考えるきっかけになってくれたらいいなと思っているんです。「まわりの雑音で自分の心の声が聴こえなくなってないですか?」「やりたいことをやって、後悔しない生き方ができてますか?」というのは、僕の根底にあるメッセージだし、それを音楽で伝えたいと思っているので。大勢ではなく、一人一人に届く曲になったらいいなと思うし、そう思える曲を作れたことがすごく嬉しいです。

ーー最後に4月28日から始まる全国ホールツアー『one-man live tour 2018 “cocoon”』について。ホールツアーは5年ぶりとなりますが、昨年のライブハウスツアーを経て、今回はどんなライブにしたいと思っていますか?

内澤:ここ数年のなかでインディーズを経験して、自分たちのレーベルを立ち上げて、ユニバーサルミュージックとタッグを組んで。5年前とは別のバンドなんじゃないか? というくらい変化していると思うので、いまのandropをしっかり表現できる場所にしたいですね。『cocoon』はホールツアーが決まってから制作に入ったアルバムで、ホールで演奏することを前提にしてBPMや音色を決めていったんです。それが実際にどういうふうに響くのか、僕らも楽しみですね。しっかり音楽に没入できる会場ばかりなので、ぜひ楽しんでほしいです。

ーー「Memento mori with Aimer」もぜひライブで聴いてみたいです。

内澤:そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、毎回Aimerさんを呼ぶわけにもいかないですからね(笑)。どうやってライブでやろうか、いま考えているんです。Aimerさんの声だけを同期で流すのもどうかと思うし……。僕たち自身も「『Memento mori with Aimer』の完成形をライブで聴いてもらいたい」という気持ちは強いので、ライブならではの演奏も期待してほしいです。

(取材・文=森朋之/撮影=林直幸)

Aimerコメント

 ボーカルとして参加することが決まった時の感想は?

今まで制作やライブでも何度もご一緒したことがあるからこそ、なおボーカリストとして、大切な作品に必要としてくださったこと、すごく嬉しかったです。デモを初めて聴いたのは忘れもしない1月のツアー中、長野公演からの帰り道で、当時わたしはギタリストの藤岡さんが亡くなったことであらためて自分の中で死と向き合っていて、そんな心境でこの曲を歌えることが運命でしかないと思ったし、涙が止まらなかったです。

 歌唱において心がけたことは?

キーは、自分が普段出し慣れている範囲より全体的に高いので、響きの良いところで歌えるように、試行錯誤しながら録りました。
声の女性性も意識しました。
2人の声の重なり方は、いい意味でぴったりすぎない方がいい、と内澤さんが仰ったので、言葉の乗せ方は敢えて内澤さんのデモに寄せず、自分らしく歌うよう意識しました。

完成した楽曲を聴いた印象は?

自分の声と内澤さんの声は、成分的に違いも大きいので、それぞれの良さを立たせながら1曲として纏めることが果たして叶うのだろうかとぼんやり思っていたのですが、完成した曲はそれが理想的で、とても感激しました。ラストの内澤さんの歌はほとんど慟哭みたいで、タイトルに込めたものが伝わってくるのが好きです。こんな素晴らしい曲に参加させてもらって、ちゃんと役目を果たせたか心配に思うくらいですが、わたし自身がただただ幸せでした。本当にありがとうございました。

androp『cocoon』通常盤

■リリース情報
『cocoon』
2018年3月7日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)¥3,900(税抜)
通常盤(CDのみ)¥3,000(税抜)

<CD収録曲>
01.Prism
02.Arigato
03.Joker
04.Hanabi
05.Sorry
06.Catch Me
07.Sleepwalker
08.Kitakaze san
09.SOS! feat. Creepy Nuts
10.Proust
11.Ao
12.Memento mori with Aimer
-bonus track-
Tokei (album ver.) ※通常盤のみ収録

<DVD収録内容>
studio live
・Catch Me
・Proust
・Hanabi
・SOS!

■ツアー情報
『one-man live tour 2018 “cocoon”』
2018年4月28日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
open 17:00 / start 18:00
2018年5月3日(木・祝)宮城・仙台電力ホール
open 17:00 / start 18:00
2018年5月12日(土)福岡・福岡国際会議場
open 17:00 / start 18:00
2018年5月26日(土)大阪・NHK大阪
open 17:00 / start 18:00
2018年6月3日(日)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
open 17:00 / start 18:00

※チケット代金 指定席 5,800円(税込)
※6歳以下の入場不可

androp公式ホームページ
androp公式Twitter
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