中居正広、“ピン”の活動ににじみ出たSMAP魂 『行列』から『CDTV』まで直近の司会を振り返る

 「最近、ピンで活動させてもらってるんですよ」。広げた扇子には「ピン」の文字。お笑い芸人のようなコメントだが、これは中居正広の言葉だ。

 春の番組改編期を迎え、3月末から連日のようにスペシャル番組が放送された。中居正広は『ナカイの窓』(日本テレビ系)や『金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)などのレギュラー番組と並行して、『行列のできる法律相談所』、『中居正広の5番勝負!』(ともに日本テレビ系)、『UTAGE!』、『CDTV』(ともにTBS系)のスペシャル番組でMCを務めた。また『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の最終回にゲスト出演。盟友のラストに華を添えた。スポーツに音楽、バラエティと中居が司会者として起用され続ける理由を探ってみたい。

初出演で初MC! 「中居ペース」のすごさ

 3月25日放送の『行列のできる法律相談所』では、初出演にして初MCを務めた中居。普段は東野幸治やフットボールアワーの後藤輝基ら、お笑い芸人が司会を務める枠に『中居正広の5番勝負!』(4月3日放送/同局)の番宣を兼ねて司会として出演。平均視聴率は18.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)をマークした。

 赤い幕があがると勢いよく歩き出した中居。観客の大歓声を背に、すかさずウエンツ瑛士の元へ駆け寄った。のっけからアクセル全開だ。「今回、司会を担当させてもらうことになりました、生まれた時から中居です!」と自己紹介を済ませると、同時間帯に他局のドラマ枠に嵐の松本潤、次クールからは二宮和也が出演するため、「嵐と嵐の合間を縫ってきた」と説明した。

 ひな壇に座る出演者と共演やプライベートでの交流もあるようで、東野が飲み会に誘っても「あの日を境に来てくれなくなった」と明かすと、腕時計をみて「あの日だ(笑)!」と自虐ネタもスイスイ飛び出した。さらには「最近、ピンで活動させてもらってるんですよ」と広げた扇子には「ピン」の文字。東野が立ち上がり「いまそんな芸風になってきた!?」とツッコまれていた。番組冒頭から中居のテンションにつられて一気にボルテージがあがったスタジオ。観客もゲスト陣も手を叩いて笑っていたの印象に残っている。

 後藤らに「ひな壇とMCではギャラが違うのか」という素朴な疑問をぶつけたり、女の子を家に呼ぶ話で盛り上がっていたかと思えば、突然「NGなんです」と“アイドル中居”に戻ったり。話の流れで顔芸も披露した。いじられ役のウエンツは、お馴染みの生意気な口調で「中居ペース」が嫌だと応戦。随所に年月をかけて築いてきた人間関係が生かされていた。

 また不倫ネタを彷彿とさせる話題を振られた宮迫博之は、まんまとトラップにかかってしまう。いたずらっ子のように芸人をいじれるのも、芸人を前に芸を披露できるのもアイドル中居ならではだろう。

 さらに東野が別の番組で「ゲストで来るときに『ワイドナショー』で中居くんから差し入れですって書いてあった」と明かすと、中居は少し顔を引き締めてポリシーを語った。

「ドラマの時みんなするじゃないですか。主役の人もすれば二番手の人も。バラエティしないって、舐められてる気がするって言うか。だから一年に一回、自分の名前が出てる番組とかはお弁当入れたりするようにしました」と、演者に限らずスタッフ全員に行き渡るよう差し入れをしていることを明かした。

 4月3日放送の『中居正広の5番勝負!』では、中居自ら体を動かし、アスリートと卓球や野球の真剣勝負をした。音楽番組でたくさんのアーティストを迎えたり、バラエティで活躍した中居。近所のお兄ちゃんのような飾らない親しみやすさ、アナウンサーでは踏み込めない領域を超えられるのもタレント同士だからこそ。ちょっぴりの毒舌や、いたずらを混ぜながら全方位に響く笑いを提供する。体に刻まれたリズム感と時間感覚でテンポの良い進行、司会者として場を巻き込む力ーー長年ステージに立ってファンを魅了してきた“アイドル力”が発揮されていた。

歌番組でみせた中居の司会者スキル

 4月7日放送の『CDTV祝25周年SP』(TBS系)にもMCとして出演した中居。TBSアナウンサーの江藤愛と共にたくさんのアーティストを迎え、3時間に及ぶ生放送を無事に終えた。

 SMAPとして歌にダンス、トークのステージパフォーマンスの実績があり、コンサートの構成を考えたり楽曲制作をしたり、さらには後輩グループ・舞祭組のプロデュースと裏方(忘れてはならない“スルメさん”も!)としてステージを支えてきた経験を持つ。マルチタスクもいいところである。番組ではそんな彼の経験が生かされていた。

 中居の司会は、笑いをとりながらも、初見の視聴者を想定した基本的な情報を改めて盛り込むことがある。ファンが気になっていること、知りたい情報をさりげなくはさみ、視聴者目線を忘れない気遣いを感じる。

 例えば今回15回目の出演となるE-girlsは、メンバーの脱退を経てのパフォーマンスだった。ファンの中には複雑な気持ちで見守る人もいたかもしれない。そんな状況を踏まえてか、「メンバーが入れ替わったりだとか、進化されているんでしょうね」と、彼女らを送り出したあとに、ひとこと前向きなコメントを付け加えていた。

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