イヤホンズ、牧野由依、TrySail、宮本佳那子……声優アーティストの“おもしろさ”感じる新作4選

　最後に取り上げるのは、宮本佳那子が歌う『HUGっと!プリキュア』のオープニング主題歌「We can!! HUGっと!プリキュア」です。彼女はもともと子役として活動しており、プリキュア楽曲にコーラスで参加していた縁もあってか、2007年にシリーズ第4作『Yes！プリキュア5』のエンディングテーマ「キラキラしちゃってMy True Love！」でソロ歌手デビュー（余談ですがこの曲は2トーンスカ歌謡の名曲！）。その後、声優業も行うようになり、2013年にはシリーズ第10作『ドキドキ！プリキュア』のキュアソード役でプリキュア声優の座を射止めるなど、プリキュアシリーズと縁深いキャリアの持ち主として知られています。

　2014年には体調不良のため活動休止したのですが、翌年に活動を再開。2017年にはシリーズ第14作『キラキラ☆プリキュアアラモード』のエンディングテーマ「レッツ・ラ・クッキン☆ショータイム」で再びプリキュア歌手に就任し、ファンを喜ばせました。そんな流れを経て今回の初オープニング主題歌担当。しかもそれがプリキュア15周年の節目を飾る作品ということで気合いも漲っており、いつも以上に明るく晴れやかな歌声で作品を盛り上げています。Nostalgic Orchestraの藤本記子と福富雅之が手掛けた力強い歌詞とオーケストラ中心の壮麗なサウンドも相まって、非常に生命力を感じさせる楽曲となっている本作。曲自体の良さはもちろんですが、彼女のこれまでの活動やアニメ作品との関わりというレイヤーを踏まえて聴くと、さらに魅力的に響くのではないでしょうか？　そういったアニメ作品との相乗効果もまた、「声優アーティスト」ならではのおもしろさなのです。

■北野　創
音楽ライター。『bounce』編集部を経て、現在はフリーで活動しています。『bounce』『リスアニ！』『音楽ナタリー』などに寄稿。