『関ジャム』出演、インディーズ初の月9主題歌……Official髭男dismが注目を集める要因を探る

 髭男(ひげだん)ことOfficial髭男dismが、先日3月18日放送の『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にゲストとして登場し「Tell Me Baby」を演奏。関ジャニ∞錦戸亮と安田章大とともにトリプルギターによるセッションを披露した。

Official髭男dism『エスカパレード』通常盤

 Official髭男dismは2012年、島根大学に通っていた藤原聡(Vo&Pf)、楢崎誠(Ba)、松浦匡希(Dr)、小笹大輔(Gt)の4人で結成。地元・山陰を中心に活動をはじめ、徐々に人気を全国区へと広げていった。少し不思議でインパクト大なバンド名には“髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたい”というメンバーたちの熱い思いがこめられているという。

 2015年4月に1stミニアルバム『ラブとピースは君の中』、2016年5月に2ndミニアルバム『MAN IN THE MIRROR』、2017年4月19日に3rdミニアルバム『レポート』といった作品を発表してきたOfficial髭男dism。今年4月11日には初のフルアルバム『エスカパレード』をリリース、さらに同作収録の「ノーダウト」で4月9日スタートの長澤まさみ主演ドラマ『コンフィデンスマンJP』(毎週月曜夜9時)の主題歌を担当することも先日発表されたばかりだ。月9ドラマ主題歌をインディーズアーティストが担当するのは今回が初とのことで、発表時にはさらに大きな話題となった。このように、『関ジャム』から月9主題歌まで、彼らをフックアップする動きが徐々に目立ち始めている。

 そこで、Official髭男dismのCDデビュー時から度々インタビューを行ってきた音楽ライターの猪又孝氏に彼らについて話を聞くと、「最大の魅力はメロディとサウンドのセンス」にあると語る。

「尋常ではないポップセンスと藤原くんが書くメロディの良さが彼らの魅力であり強み。藤原くんはモータウン、ソウルミュージック、ギターの小笹くんはHi-STANDARDなどのパンクロックというように、音楽的なルーツの振り幅が広いメンバーが揃ったバンド。彼らによる職人肌的な凝ったアレンジと展開が耳に残ります。モータウン特有のリズムのウキウキ感や高揚感、60年代ソウルのハッピー感や跳ねる感じがエッセンスとして取り入れられていて、メロディは非常に起伏に富んでいながら、どこかノスタルジーをくすぐるオールディーズポップスのような感覚もある。そういったサウンドに親しんできたリスナーには懐かしく、若いリスナーには新鮮に響いているのではないでしょうか。しかも高揚感がありながら、甘酸っぱくてセンチメンタルな雰囲気も併せ持つ。その二面性も面白いです。さらにハイトーンボイスによる歌声も耳に残りやすく、多くのリスナーを惹きつけるのだと思います」

 また、そんな彼らのサウンドに大きな進化を感じたタイミングが、3rdミニアルバム『レポート』だったと同氏は続ける。

「『レポート』制作時に彼らは打ち込みサウンドにも傾倒していきました。スクリレックス、ジャスティン・ビーバーなどをフェイバリットに挙げるなど、コンピュータで作る音楽のエッセンスも経由したことでバンドが覚醒したように思います。Ben Folds Fiveのようなバラードも、The BeatlesやThe Beach Boysのようなポップな曲、ホーンサウンドを取り入れた華やかな曲も作ることができた彼らが、さらにそういったテイストの曲も作ることができるようになり、表現の幅がより広がったように感じます」

 スキルや感性を磨きながらバンドとしての進化を遂げ、活躍フィールドを順調に広げている彼ら。『関ジャム』出演のきっかけとなった、同番組内の企画「売れっ子プロデューサーが選ぶ2017年上半期ベストソング」「売れっ子音楽プロデューサー2人が選ぶ2017年の年間ベストソング」で2回連続Official髭男dismの楽曲を挙げた音楽プロデューサーの蔦谷好位置はじめ、過去にはaikoや有安杏果もラジオでいち早く彼らの楽曲を紹介してきた。そういったミュージシャン、アーティストたちからも支持される要因はどのような点にあるのだろうか。

「楽曲の細部を作り込んでいて、こだわりが伝わってくる。だからこそ日頃からアンテナを張っているミュージシャンやアーティストがまず反応した。彼らこそ新世代の“ミュージシャンズ・ミュージシャン”と言えるでしょう。そういった作り込みは楽曲だけでなく『What’s Going On?』や『MAN IN THE MIRROR』といった、マーヴィン・ゲイ、マイケル・ジャクソンを彷彿とさせる、音楽ファンがつい反応してしまう作品名にも表れています。そして気になって調べると“Official髭男dism”という強烈なバンド名が出てくる。そうやって音楽好きのアンテナにひっかかる仕掛けを積み重ねた結果が、現在の注目度の高さにつながっているのではないでしょうか」

 フルアルバムのリリースを経て、5月からスタートする全国ツアー『Official髭男dism one-man tour 2018』では中野サンプラザでのファイナル公演が決定している。彼らの“知る人ぞ知る”人気ぶりは、この春以降、“知らないのはマズイ”ものになるだろうか。

(文=久蔵千恵)

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